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「すてる」と「ほかす」のちがいとは

小学生のころ、家族の仕事の都合で大阪から転校してきた友達に「これ、ほかしといて」と言われたことがありました。

意味がわからないながらも何かいけないことをしてしまったと思い、とっさに「あ、ごめん」と言いったものの、どうもかみ合っていないようで、困惑したことを覚えています。

その後、彼が手に持っていたものを見て「ゴミをすてる」のだと気がつき、事なきを得たのですが、「すてる」と「ほかす」にはどのようなちがいがあるのでしょうか。

早速みていきましょう。

「すてる」とは

「すてる」とは、言わずと知れた言葉ですが、『不要になったものを処分する』という意味で使われる一般的な言葉です。

ときに、『放置する・見過ごす』や『途中でやめる』『関係を断つ』『犠牲にする』という意味合いで使われることもあります。

「ほかす」とは

「ほかす」とは主に関西地方の方言で『不要なものを処分する』という意味での「すてる」と同じ意味を表す言葉です。

「すてる」と「ほかす」ちがいの

「すてる」と「ほかす」のちがいは、標準語と関西の方言であることはわかりましたが、他のちがいを見てみましょう。

それぞれの意味を見ていくと『不要なものを処分する』『放置する』『途中でやめる』という意味合いは同じであると思われますが、「すてる」には含まれている『関係を断つ』『犠牲にする』という意味合いは、「ほかす」にはありません。

次に、言葉の語源を見てみましょう。

「すてる」には明確な語源は見当たらず、早い段階から『不要なものを処分する』意味・言葉として使われていたようですが、「ほかす」の語源はこの意味とは全く異なっていました。

その由来には諸説あるようですが、ひとつは大道芸のようです。大道芸は、玉や輪を放り投げながら舞う様から「放下(ほうか)」と呼ばれてのではないかと言われていますが、その「放る」が転じて「ほかす」になったとされています。

もうひとつの説として「禅」用語から転じたという説もあります。禅用語での「放下(ほうか)」は『物事に執着せず、不要な迷いをすてて念仏する』という意味があり、それが『不要なものを処分する』に転じたのではないか、というものです。

「すてる」と「ほかす」のちがい まとめ

今回は、「すてる」と「ほかす」のちがいをお話ししましたが、参考になりましたでしょうか。

関西の中でも「ほかす」だけでなく「すてる」を用いる場合もあるようですが、この二つの言葉とちがいを理解していれば、急な出張や転勤、関東の方と関西の方が介する場面に出くわしても、慌てることなく対応できそうですね。

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