愛犬と一緒に避難するためには、普段からきちんとしつけを行っておくことが重要です。
避難所にはさまざまな人が集まります。
当然、犬が苦手な人や嫌いな人と一緒に避難しなくてはいけないこともあります。
過去に同伴避難が許可された避難所では、鳴き声や臭いに関する苦情が多数寄せられました。
また、飼い主が勝手に放し飼いにした犬が他の寝ている避難者の周りを徘徊するといったケースまであり大きな問題となりました。
もしこのようなトラブルを引き起こしてしまえば、せっかく受け入れてもらえた避難所でも犬の飼育ができなくなってしまったりして、最悪出て行かざるを得ないような状況に陥る可能性もあるのです。
災害時に備え、最低限やっておきたい『しつけ』
最低限必要なしつけ
- 待て
- おいで
- おすわり
- ふせ
- 無駄吠えをしない
- ケージを嫌がらず中ではおとなしくする
- 人に慣れる(他人を怖がったり、むやみに攻撃的にならないようにする)
- トイレ決められた場所で排泄できるようにする
これらは絶対に教えておかなくてはいけません。
でも、飼い主が落ち着いてきちんと指示を与えてくれれば犬の不安は軽減されます。
反対にこれらのしつけができていない犬の場合を考えてみましょう。
そして大勢の人が行き交い騒がしい中、吠えれば怒られてしまいます。
普段優しい飼い主さんも言うことを聞いてはくれません。
その恐怖とストレスは計り知れませんよね。
しつけを行っておくことは他者とのトラブルを防ぐだけでなく、いざという時の愛犬のストレスを軽減させることもできるのです。
またこれ以外にも避難所では首輪やリードを長時間つけておかなければいけないこともありますので、普段からこれらに慣らしておく必要もあります。
しつけ以外に飼い主がしておかなくてはいけないこと
もちろん犬だけでなく、飼い主さんも覚えておかなければいけないことがあります。
リードのコントロールができなければ非常時にも犬が言うことを聞かず自分の行きたい方向へと飼い主を引っ張っていってしまう危険性もあります。
もしかすると、普段のお散歩時に伸びるリードをお使いの方もいらっしゃるかもしれませんが、普段から自由に歩かせていると歩く際の主導権を犬に握られてしまいます。
普段とは異なる状況に興奮した犬が他人に危害を与えたり、いきなり走り出して強い力で引っ張るという可能性もゼロではありません。
このような場合にも対処できるよう、普段からリードの主導権は飼い主さんが握っておかなくてはいけません。
そうすれば例えパニックになったとしても、愛犬には頼れる飼い主さんがいることになります。
災害時にも必要とされる予防接種の重要性
狂犬病ワクチンは毎年接種することが義務付けられていますよね。
賛否両論はありますが、こちらはおそらく皆さん大丈夫なのではないでしょうか。
ただ、混合ワクチンについては接種の頻度にばらつきがあると思います。
以前は年に一度とも言われていましたが、最近では体への負担をの方を重視し毎年ワクチンを打たない獣医さんも増えてきましたよね。
犬によって一度の接種で3年以上もの免疫が続くこともあれば、1年経たないうちに切れてしまうこともあるというのです。
免疫反応がきちんと機能していれば毎年ワクチンを打つ必要はないということですね。
ただ、免疫がきちんと機能しているかは目で見てわかるものではありませんので、年に一度は抗体検査をして切れていればワクチンを接種してあげてくださいね。
避難生活ではさまざまな人やペットが集まることもあり、衛生面も大きな問題となります。
普段なら大丈夫でも、ストレスなどで免疫力が落ち病気にかかりやすくなることも考えられます。
もしも愛犬がワクチンなどで防げる病気にかかってしまったとしたら、それは飼い主さんの責任です。災害時には愛犬が適切な医療をすぐに受けられる保証なんてありません。
ワクチンを打つためだけに病院に行くのが面倒だなんて理由で、愛犬の体を危険に晒すなんてことはないようにしてくださいね。
寄生虫の予防駆除
病気だけでなく犬フィラリア症などの寄生虫にも注意が必要ですね。
ご存知の通り犬の体には毛が密集していますのでノミやダニにとっては絶好の棲み処となります。
そしてノミもダニも一匹でも付いているとあっという間に増えてしまう厄介な寄生虫です。
ノミやダニは犬の体について吸血しますので、多くのノミやダニがついていますとその吸血から貧血を起こすこともあります。
また、ノミに寄生しているサナダムシ(瓜実条虫)が犬の体内に入って犬に寄生してしまうこともあります。
ノミ・ダニの予防は犬のためだけではありません。
どちらも人には寄生しませんが噛まれることがあり、噛まれた際に唾液が体内に入ることによりアレルギーを引き起こす場合があります。
これらが媒介する感染症による患者や死者は日本でも発生しています。
とても飼い主さんが一人で責任を取りきれるような問題ではありません。
万が一にもそのようなことにならないよう、日頃からノミ・ダニ対策は怠らないようにしておきましょう。
ちなみに、ノミやダニは目で見えることもあります。
ただし、もし目に見えてついているのが分かっても絶対に手で取ろうとしないでください。
無理に引き剥がそうとすると吸血している口の部分だけが犬の体内に残ってしまい炎症を引き起こしてしまったり、飼い主さんが噛まれてしまうという危険もあります。
吸血に満足すれば自然に取れることもありますが、見つけたら動物病院に連れて行ってあげてくださいね。
不妊去勢手術の是非
犬は不妊去勢手術をして飼うことが推奨されている生き物です。
その理由は、生後一年も経たないうちに成熟し、多頭出産を行い犬自身では繁殖をコントロールできないためです。
これらの手術については可哀想と感じる方が多いと思います。
万が一災害時に愛犬とはぐれてしまった場合、愛犬の繁殖は誰にも止めることができません。
放浪犬として生きなくてはならない不幸な愛犬2世・3世が生まれてしまうかもしれないのです。
また、避難所で生活する犬があなたの愛犬だけとは限りません。
そして愛犬を取り巻く環境がどのようなものになるのかはわかりません。
犬を飼う人の中には残念ながら「うちはオスだから関係ない。避妊していないメスが悪い。」なんていう無責任な人もいます。
将来2世をと考えている場合は、避難先での他の犬との不要な接触を防ぐための手立てもきちんと考えておきましょう。