第二次性徴期の身体的変化は、身長の伸びや声変わり、体型の変化など他の人が見てすぐに分かるものだけではありません。
他の人から見てよく分からない変化もたくさんあります。
たとえば、男子ならばペニス、睾丸の発育や精通、女子ならば初潮といったことです。
こういったことと同様に、陰毛の発生は普段の生活の中でお互いにどうなっているのかがよく分かりません。ですからよけいに「他の人はどうなっているのだろう?」と心配になる気持ちは強いのかもしれません。
みんなはいつ頃?陰毛の生える時期
第二次性徴期の身体的変化にはある程度決まった順番があります。
男子は一般的に
- 睾丸の発育
- 陰毛の発生
- 精通
- 声変わり
- 体型の変化
という順序
女子は
- 乳房の発達
- 陰毛
- 初潮
- わき毛
- 体型の変化
という順序をたどるそうです。
第二次性徴が始まる年齢については、男子は12~15歳程度、女子は10~14歳程度が一般的だといわれています。
しかしこの年齢にはかなりの個人差があります。ですから陰毛の発生する年齢についても小学校の高学年程度から高校生程度と、かなりの幅があることになるでしょう。
しかもきちんと生え揃うまでに2年ほどを要するといわれていますから、「他の人と比べてどう?」とあまり神経質になる必要はないと思います。
ただし、男子で10歳前後、女子で8歳前後程度の時期にすでに陰毛が発生しているような場合には注意が必要です。
他の第二次性徴期の特徴である睾丸の発育や声変わり、乳房の発達や生理なども同時期に起こってくるということであれば、早期に体の発達が完成してしまう「思春期早発症」の可能性があります。
これは主に女子に多い傾向があるようですが、男子は「そもそも気がつかなかった」ということも多く、そのまま低身長となってしまうことがあります。
乳房の発達や初潮などは本人や親にもその時期が分かりますが、睾丸(精巣)の発育は本人でさえ気づきにくく、病院で計測・診断しないと正確なことは分からないものです。少しでも気になる点があれば病院で検査をしてみてもよいと思います。
逆に、男子で14歳程度まで睾丸の発育がない、15歳程度まで陰毛の発生がない場合、女子で16歳程度まで陰毛の発生や初潮が見られない場合は「思春期遅発症」の可能性が考えられますので、こちらについても小児科などを受診してみることをおすすめします。
成長に関する問題は実際に大きな個人差があるということもあって、多くの人が「大丈夫だろう」と考えがちです。
確かにその通りなのですが、中には診察や検査が必要な場合もあります。年齢を経るにつれて対策が難しくなることもありますので、気になることがある時にはその都度かかりつけの小児科などに相談していくとよいでしょう。
生えたらどうしてる? 処理は必要?
陰毛の生え始めの頃は、まっすぐか少しカールした産毛のような細い毛がわずかに生えてくるのが一般的です。
この時期は多少ちくちくした感じはありますが処理を考えるほどではないでしょう。さらに時間が経つと、硬くてちぢれた毛へと変化していきます。生える面積が広がっていき、最終的に逆三角形のような状態になるのが一般的です。
陰毛の処理を始める年齢は16歳~23歳程度ということです。最近では女子の場合高校生の5人に1人は陰毛の処理をしているといわれており、プールの授業や部活動などのためにある程度は必要と考えられている傾向にあるようです。
現代の高校生の心理を考えれば充分理解できることです。
陰毛の処理としていちばん先に思いつくのは剃刀などによる「自己処理」ですが、剃刀は肌の弱い人には適さない方法です。また何度も繰り返すことによって剃り跡が残り、怪我や感染症の恐れもあります。処理の方法についてよく考えていく必要があるでしょう。
生え始めの時期にどうしたらよいか分からず陰毛を剃ってしまう子もいるようです。体が徐々に変化していくことに戸惑う心理から起こる行動です。
陰毛は他の人からは見えませんが、自身にとっては非常に大きな身体的変化と感じられ、ショックを受ける子もいます。今までなかった箇所に毛が生えてくるわけですから戸惑うのは当然です。陰毛を剃ってしまうのは、陰毛を「なかったこと」にして今まで通りの幼い自分のまま安定していたいという気持ちの表れでしょう。
こういった行動は、修学旅行での入浴、温泉や銭湯などで同じくらいの年齢の子の体を見る機会が増えるにつれて一般的にはだんだんと解消していきます。
たとえ「剃ってしまう」というような極端な行動がない場合でも、生え始めの時期にはたいていの子が戸惑いを抱えているものです。
思春期の体の変化は誰もが通る道でありながら、その過程についてはなかなかオープンな話題になりづらいものです。
親御さんから話を聞くことはあるとしても、思春期の当事者としては、「同世代について知りたい」という気持ちが強いのではないかと思います。
ですから、修学旅行や合宿での入浴、旅行先での温泉、銭湯などといった機会を持つことは、「実際に見る」という意味において思春期のお子さんにとってはある程度必要な経験なのではないかと思います。
本人の中で身体的な成長が精神的に順調に受け入れられている場合であっても、特に女子の場合、修学旅行などの時に「陰毛を処理していった方がいいのではないか…」と悩むことは多いようです。
小学生の場合、確かに周りのお子さんはまだあまり生えていないという可能性も高いでしょう。ですから「剃ってしまった」という子もいるようですが、本人だけで剃刀などを使用して処理するのはとても危険です。
上でも書きましたが、剃刀はたとえ目に見える出血がなかったとしても小さな傷が肌についていることが多く、そこから細菌などに感染する恐れもあります。もしも親御さんが身体的な変化に気づいている場合やお子さんが悩みを打ち明けてきた場合には、適切な処理や解決策についてぜひ相談にのってあげてほしいと思います。
本来、体の発育は大人になるために当然必要な過程です。身体的な変化が訪れることは大変喜ばしいことです。
しかし思春期の、特に女子の場合にはどうしても、陰毛の発生や乳房の発達などを「恥ずかしい」と感じる心理が働いてしまうものです。周囲の大人はお子さんのそういった心理を増長させないような配慮が必要です。困惑したり茶化したりするような態度は控え、「体の変化は大人に近づいている証拠。とても喜ばしいこと」という気持ちを、きちんとお子さんに伝えてあげてほしいと思います。
中学生や高校生の場合は比較的多数に陰毛の発生が見られますから、「全部剃っていく」ということはあまりないでしょう。
ただし同世代のお互いの体の変化に一番敏感な時期でもありますから、毛質が硬く量が多いといった場合には多少の処理を考えるということはあるでしょう。
一方で、「生えていない」という方が悩みの対象となることもあるようです。特に男子にとっては、体の発育が遅いことは一つの大きな悩みとなり得ます。「子どもっぽい体つき」の男子が修学旅行や部活動の合宿などを嫌がるケースはよくあります。
男子は「早い段階で身長が伸びてがっちりした体つきになり、陰毛も発生している」ということがむしろ精神的に優位に働く場合があります。女子は、男子と比べると成長期の体の変化を隠したい心理が先行する傾向にありますが、それでも一般的な生育と比べて「遅い」と感じることは本人にとって大きな問題です。
中学・高校時代は陰毛だけでなく体の発達自体に大きな個人差がみられる時期ですから、男女問わずその時期に他の人と比べることにあまり大きな意味はないのですが、当事者からすると大変な問題です。もしもその時期にお子さんの発育が一般的な状況から少し離れていると感じる場合には親御さんの配慮や助言も大切となってくるでしょう。
陰毛の生え始め、時期は様々
「陰毛が生え始めてどうしたらよいか分からない」という心理は誰にでも当てはまることです。知識としては知っていても、実際に自分の体に変化が起こるということは大変な衝撃です。大人にとっては微笑ましいことであっても、当事者にしてみたら決して「当然」とは考えられないでしょう。
陰毛については、その生え方に悩むというよりは「早い」「遅い」という時期について悩むことが多いでしょう。これについては大きな個人差があるという点をまずよく理解しておく必要があります。小学生・中学生の時期は特に敏感となる時期ですから、親御さんはお子さんが一人で悩むことがないようぜひ適切な助言をしていって頂きたいと思います。
生えた後については「濃い」「薄い」という悩みも生じると思います。これについては頭髪やわき毛と同様、毛質や毛量の問題となります。現在は処理の方法もたくさんありますので、色々な情報を集め体に負担の少ない方法を選択していくことが大切となるでし