子育て

伊集院光の「中二病にかかったかな?」になったとき親にできることって何?

 

「中二病」ということばを知っていますか? 思春期のお子さんを育てる方ならばたいてい一度は聞いたことがあると思います。

元々は1999年に伊集院光さんが自身のラジオ番組で使ったことが始まりで、当時は一部のリスナーの間でのみ通じる言葉だったようです。しかし現在ではすっかり市民権を得るに至った印象があります。

「中二病」という響きは実に絶妙です。中学校生活の3年間を考えてみると、中学1年生は入学したばかりで精神的にまだまだ子ども、中学3年生は受験という現実的な壁が迫ります。中学2年生は最も自由で、そしてもっとも不安定な時期だと言えるでしょう。

  

中二病で親が「納得できること」と「納得できないこと」

「中二病」は思春期に入った子ども特有の「病」を指します。

もちろん本当に治療が必要な「病」ではありません。

子どもは思春期に入ると周りとは違う自分探しを始めます。そうした中で、親に対して背伸びをしたり反抗的な態度をとることはよくありますが、さらに非現実的・空想的な設定にとらわれた発言や行動をすることなども見られます。

思春期の「自分探し」は昔から誰でも通ってきた道です。その過程で親や周囲に対して反抗的な態度をとることはよくある話です。いわゆる「反抗期」です。大人になって後から考えてみると本人も「恥ずかしい」と感じるような言動をとった経験は、実は誰にでもあるのではないでしょうか。

「中二病」もこの点では同じです。目に見える事象は違ったとしても、親としては「自分にも精神的にこんな時期があった」と納得できる点はたくさんあると思います。

 

反抗期と中二病は何がちがうのでしょうか。

 

「中二病」ということばは、大人からというよりもむしろ仲間内で使われることが多いという点はその特徴の一つだと思います。

「アイツは中二病だ」などと同年代の言動を揶揄するときに使います。親しみを込めたからかいの場合もありますが、軽蔑の場合もあります。言った側は「自分は中二病ではない」ということで相手よりも精神的に大人であり優位であることを示そうとします。

また、当の本人が自分自身の趣味や関心を「中二病」と自虐することもあります。中二病であることを認めた上で同じような仲間たちを求めるという場合もあります。

傍から自分がどう見えているか、今の子どもたちは親が思っているよりもこの点に関してかなり敏感です。いずれの場合も「反抗期だから」とは言わないことからこの辺りに「中二病」の本質がありそうです。

 

現在の学校生活の中には「スクールカースト」ということばもあります。学校という閉ざされた世界の中で自分がどの「カースト」にいるかということは、子どもたちにとって大きな問題です。

インターネットが普及しだれでも広く世界の情報を得ることができる現代なのに、これはとても皮肉な話です。

しかし学校での価値が「勉強」「スポーツ」「容姿」などといった他人からも分かりやすくメジャーなものに偏っていることを考えると、昔と比べて子どもたちはより窮屈な学生生活を送っているのではないかとも考えられます。

こうした価値観の偏りは大人社会からの押し付けなのかもしれませんが、子どもたち自身の中にも深く根付いています。

それがより「中二病」を進行させるという面もあると思います。

いわゆるメジャーな価値観からははみ出してしまう子、メジャーな価値観には関心が持てない子もたくさんいます。しかしそのまま何の価値観も探さずに思春期を過ごすことはとても辛いことです。子どもには「何かを追いかけていたい」という欲求が常にあるからです。大人からは「どうしてそんなものにのめり込むのか」「そんな言動や考え方は自分の殻にこもっているだけではないのか」と思える所でも、子どもは何とかして既成の価値観にとらわれない自分自身を探しているのです。

「中二病」として何かにのめり込んだりなりきったりといった言動が見られるのは、何かを追いかけている証拠です。立派な成長の一過程です。順調に育っていることをまずは親として喜んでよいと思います。

  

中二病のオーラに耐える親としての反応はこれしかない!

中二病のお子さんを傍から見ているぶんには「成長の一過程」として、ある意味ほほえましくさえ感じるものです。

同世代のママ友の間でさえ「まあそんな時期だよね」とスルーされてしまう話題かもしれません。中二病のお子さんと四六時中かかわらなくてはならない気苦労は、本当の「病気」ではないだけに周囲の理解がなかなか得られにくいという面はあります。

「人とは違う自分」、お子さんは何とかそれを探そうとしています。親というものは勝手なもので、自分の子どもが人とは違う何かを見つけて脚光を浴びてほしいと願う一方で、心のどこかでは人と同じようにしていてほしい…と思ってしまうものです。

この親の矛盾した心情を鋭く突いてくるのが「中二病」なのかもしれません。

 

中二病のお子さんは親の意見をなかなか受け入れません。もうそれが当然だと考えてしまうほうが楽です。永遠に自分の世界に入っていることは稀ですから、いったん距離を置く覚悟も必要です。子ども扱いして説教したりするのも無意味です。

お子さんに対しての「評価」を一度いっさいやめてみるのが一番よいと思います。通常の会話などはもちろん普通に行いますが、お子さんの言動に対してプラス・マイナスの反応をとらないということです。「初めから相手にしない」というのは実はマイナス評価の心境に近いものがあります。お子さんが話をしているならば聞く姿勢は欲しいものです。しかし「中二病」的な言動があった場合でも即座に表面的な反応をせず、いったんのみ込んでみましょう。

 

ただ、この時期は高校受験やその他様々な進路選択の時期でもあります。「すべて好きにして」と言えたら本当に楽なのですが、親としてはどうしても現実的にこの時期のお子さんとかかわらなければならない事柄が生じます。

そういった場合は思いきって大人の第三者の助けを借りることも大切です。たとえば担任の先生、部活動の顧問、習い事のコーチ、または祖父母や親類知人のおじさんおばさんなどでもいいのです。お子さんの周りには成長過程で実はたくさんの大人の手があります。

親御さんとしては、お子さんの一大事に自らの意見や話し合いがお子さんから拒否されるというのはとてもショックなことです。「今まで一生懸命育ててきたのにこんな大事な時に自分たちと話し合わないつもり?」という気持ちは当然のことだと思います。けれどもそこで自分の意見を通そうとすることは難しいでしょう。

  

親ももう一度自分探しを

お子さんが自分探しを始めたと感じたら、この時期親御さんも自分自身の価値観を再検討してみる必要があると思います。

「中二病」とひとことで言ってもその度合いや期間は様々です。多くの場合は一過性のものとして通り過ぎていきますが、お子さんによっては本当に自分にとって価値あるものを見つけていることもあります。「中二病だから」ということで一蹴せず、親御さんもお子さんの興味や関心に目を向けてみてください。

それと同時に、親として今自身が持っている価値観は本当に正しいものなのか、既成の価値観にとらわれ過ぎていないか、価値観の幅が狭くなっていないか、そうしたことを再点検してみてください。親御さんのそうした姿勢は必ずお子さんにも伝わります。子どもの成長期は親の成長期でもある、そうした気持ちで日々を過ごしていっていただきたいと思います。

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