ドッグフードの原材料の中に「ビートパルプ」というのを見たことはありませんか?
「ビート」は小学生の時に「てんさい(甜菜)」「サトウダイコン」と習った記憶があるかもしれません。
日本では北海道などで栽培されている丸めの大根のような形をしたホウレン草の仲間で、その名の通り砂糖の原料です。
生でも煮てもアクが強く土臭いそうで、食材としてそのまま食べられることはほとんどないようです。
そして「パルプ」は、主に製紙のために木材などから取り出された繊維。
つまり「ビートパルプ」は、ビートから取り出された繊維。「砂糖を作る時に出たサトウダイコンの絞りカス」ということになります。
ビートファイバー
ビートパルプという言葉は知らないけど、ビートファイバーという言葉は知っているというかたもいるかもしれませんね。
私たちが摂る食物繊維系のサプリメントにも使われています。
ここで食物繊維について簡単に確認をしておきましょう。
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の二種類があります。
水溶性食物繊維
「水溶性食物繊維」は、胃腸の中をゆっくりとすすむため腹持ちがよく、糖質の吸収を緩やかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境が良くなるため整腸作用が期待できます。また、胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排出してくれます。
果物をジャムにする時にゲル化する成分である「ペクチン」や昆布やめかぶなどのヌメヌメ成分の「アルギン酸」「フコイダン」などが分かりやすいと思います。
不溶性食物繊維
保水性が高いので胃や腸で水分を吸い込んで膨らみ腸を刺激します。刺激された腸は蠕動(ぜんどう)運動が活発になり便通が促進されます。
植物の細胞壁を構成する「セルロース」や「ヘミセルロース」「リグニン」などの種類があり、モソモソと滑らかさのない食感が特徴です。一般的に食物繊維と聞いて思い浮かぶ、ゴボウやセロリなどはこちらですね。
こちらも大腸内で発酵・分解されると善玉菌が増えますが、水溶性食物繊維よりは発酵しにくくなっています。
ドッグフードのビートパルプはバランスの良い食物繊維
ビートパルプには、水溶性食物繊維の「ペクチン」や「ガム」。不溶性食物繊維の「リグニン」「セルロース」など両方の食物繊維が含まれていて、バランスが良い食物繊維だと言われています。
どちらの食物繊維も消化されないのでエネルギー源にはなりません。
ビートパルプには便を形作る効果もあります。
便が固くなればもともと軟便タイプの犬のフンの掃除も楽になります。
もともとが砂糖を作るときの副産物なので、大量に安価に手に入るためドッグフードの値段にも当然反映されますよね。
でも、ドッグフードにビートパルプを入れることについては否定的な意見もあるんです。
ビートバルプがドックフードにはダメだと言われる理由は?
かさましもでき、便を形作る効果のあるビートパルプですが、ドッグフードに入っていないほうが良いいわれています。
原材料欄は含有量の多い順に記載されています。
つまり、ビートバルプを使い安価にかさ増しできるというのが主な理由です。
犬はご存知の通り草食動物ではありません。肉をメインとした雑食の動物です。
その証拠に、草食動物や雑食のヒトとは違い、臼歯(奥歯)でものをすり潰すこともできませんし、腸内細菌の数も少なく腸も短くなっています。
当然、ビートパルプでかさ増しされると栄養効率が下がりますので、場合によっては栄養が不足してしまうことがありえます。
ポイント
繊維の含有割合は成分表で確認できます。
記載されている粗繊維は主に不溶性食物繊維の割合を量ったものになります。
また、ビートから糖分を搾取する際に硫酸系の薬剤を使用していることがあり、安価なドッグフードなどにはこの薬剤処理されたビートパルプが使われている可能性があるとして劇薬の残留を心配する声もあります。
もちろん犬の体に害のある成分がドッグフードに残存してはいけないと「ペットフード安全法」で定められていますが、たとえ基準内でも継続的に食べると危険だという意見です。
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そして、原材料がサトウダイコンゆえに糖分の過剰摂取が心配だという意見もあります。
絞りきれなかった糖分がわずかに残っている可能性があるというものです。
実際ビートパルプペレット(単体飼料)は、甘い匂いがするとの声も聞かれました。
まとめ
適度な食物繊維自体は犬にとっても必要なものです。
そして食物繊維はビートパルプだけにあるものではなく、他の食品からとることももちろん可能です。
実際ビートパルプ以外にも食物繊維がバランス良く含まれている食品はいろいろあります。
どちらの意見も参考にしていただいて、大切な愛犬には安心して与えられるものを選んで上げてくださいね。