熱中症がニュースになることも多く、水分だけでなく塩分補給の重要性を訴えるCMなどもよく見かけますよね。
私たちにとって塩分は生存する上で無くてはならないものです。
でも、犬には塩分を与える必要はないという人もいます。果たして本当に犬には塩分を与える必要がないのでしょうか?
犬には塩が必要 動物が生存するために塩は必要不可欠
犬の体内にも塩分は存在しており、内臓などをきちんと機能させるためにも塩は犬が生存する上で無くてはならないものです。
実は人類も昔は塩を取る必要はありませんでした。と言っても、私たちの体が変化したわけではありません。
縄文時代、農耕はまだ行われておらず人類は狩りをして生活をしていました。
当然食べるものも狩りで取れた獲物が主体となります。
私たちの体液と同じく、あらゆる動物の肉や内臓には塩分が含まれています。
これらのものを食べていれば、自然と必要な塩分量を満たすことができていたため、人類も塩分を摂る必要は無かったというわけです。
これが、草食動物となると話は変わります。
ほとんどの草などには塩分が含まれていませんので、草食動物は積極的に塩を摂取します。
牧場の牛舎などには牛が舐めるために塩のブロックが用意されていることもあります。
農耕を行うようになり主食が穀物へと変化したことで、人類は不足した塩分を摂取することが必要となったというわけです。
犬の主食は、昔の人類と同じく肉類です。
犬は塩が要らない動物というわけではありません。
もし犬に塩分は必要ないと考え、全く無塩の食事のみを与えていると体内の塩分が欠乏し体調を崩してしまいます。
過剰摂取が問題となることが多い塩分ですが、欠乏するのも危険です。
愛犬がよく飼い主さんの手の平や足の裏、コンクリートなどを舐めているという場合は、不足している塩分を私たちの汗などから摂取しようとしている可能性もあります。
また、先ほどの理由以外にも「犬は人のように汗をかかないので、塩分は不要」という意見もありますが、塩分は汗から排出されるだけでなくそのほとんどは尿から排出されるものですので、これはあまり正しい意見とは言えないかもしれませんね。
犬の適切な塩分量は?
犬に塩分を与える必要があるかどうかはともかく、犬にも塩分が必要だということはおわかりいただけたことと思います。
では適切な塩分量はどれくらいなのでしょう?
実は、犬の塩分摂取量には上限値が設定されていません。
考え方は諸説ありますが、過剰摂取により重篤な症状が起こる前に何らかの反応が現れ 摂食量が減ると考えられているようです。
人でもそうですよね。WHOの基準では成人の1日の塩分摂取量は5g以下と言われていますが、厚生労働省の基準では男性8g、女性7g(2019年4月時点)と基準はあいまいです。
そして実際の摂取量となると、日本人は世界でも塩分を多く摂取していてWHOの基準値の倍の量となる10gほども摂取しているようですが、以前は12gほども摂っていたということで、これでも減塩は進んでいるのだそうです。
でも、日本人が皆深刻な病を抱えているから減塩しているというわけではありませんよね。
犬はヒトとは違い、塩分により高血圧が問題となることはないとのことですが、過度の塩分は心臓や腎臓に負担をかける可能性もあります。
人も犬も病気になってからでは遅いですよね。
環境庁発行の「飼い主のためのペットフードガイドライン」には「一般的に犬や猫が1日に摂る食塩の量は人間の1/3程度で良いと言われています。」との記述がありますのでこれを目安にしても良いかもしれません。
犬の舌はあまり発達しておらず、食の好みは主にニオイと甘味に左右されていると言います。
そして肉を食べていれば調整する必要がなかった塩分に対する味覚もあまり発達していないようです。
塩気を全く感じないとは言いませんが、ゴハンが多少しょっぱくても反対に塩味がついていなくても、私たちのように反応して食べないということはあまり考えられません。
まとめ
通常ドックフードだけを食べていて塩分不足や塩分過多となることはあまりないはずですが、ドッグフードの種類やおやつなどによっては過剰摂取となることもありますし、食材の塩分のみを信じて塩を全く使用せずに作った手作りフードを与えていれば、材料や調理法によっては塩分が不足してしまうことも考えられます。
手作り食のレシピやドッグフードを選ぶ時は塩分量も確認すると良いですね。
もちろん持病などにより塩分の摂取を制限されているという場合は、獣医さんの指示に従ってきちんと調整してあげてくださいね。