大豆は日本の食卓には欠かせない豆の一種ですよね。
味噌や醤油の原材料でもありますし、そのままなら煮豆や炒り豆にして食べる他、豆腐や油揚げ納豆など様々な形で食卓にのぼります。
そんな大豆は、実はドッグフードにも入っています。
原材料名に「大豆ミール」という文字を見たことはありませんか?
大豆といえば健康的なイメージもありますが、大豆ミールとはどんなものなのでしょう。
ドッグフードの原材料にもなっている大豆ミールとは?
もちろん原料は大豆です。
大豆にはそれほど多くはありませんが、油が含まれています。そしてこの大豆から取られる大豆油は、サラダ油として販売されており揚げ物からの生食まで様々な料理に使えるため、一般の家庭からプロの料理人の方にまで古くから愛用されています。
代表的な植物油ではありますが、大豆にもともと含まれている油の量は少ないため多くの油を取るためには大量の搾りかすが出ることとなります。
ちなみに日本は大豆生産量自体が少ないため、製油メーカーはアメリカなどから輸入した大豆を搾油することがほとんどですし、大豆ミール自体も既に大豆ミールになった状態のものがアメリカやブラジル、中国などからも多く輸入されています。
もしかすると、おからと同じようなものだとお考えの方もいらっしゃったかもしれませんが、おからは茹でた大豆をすりつぶして豆乳を搾り取ったもの。
大豆ミールは乾燥大豆から油を抜き取った後に残ったものですので、製造工程も栄養素もおからとは全く違うものです。
大豆ミールがドッグフードによくない理由はコレ!
まず、大豆ミールができるまでの工程を見ていきます。
step
1不要物を取り除く
原料の大豆に混ざってしまっている葉っぱや茎などの余計なものを取り除きます。
step
2大豆を乾燥させる
大豆を乾燥させて、油が出やすいように割り砕きます。
step
3油分を抽出
n-ヘキサン(ノルマルヘキサン。以降「ヘキサン」と記載)という溶剤を使用して油分を抽出します。
加熱して溶剤(ヘキサン)を取り除きます。
step
3粉砕、整粒
乾燥させた後冷却し、粉砕、整粒などを行えば大豆ミールの完成です。
ヘキサンは石油のような匂いのする無色の液体で沸点は68.7℃。
ご想像の通り毒性がある危険なものです。
先ほど絞りカスとも表現しましたし、「油って絞って採るもじゃないの?」とお考えの方も多いかもしれませんが、このヘキサン(溶媒)を使って油を取る方法は「溶媒抽出法」といい、油の割合の少ない大豆などを脱油する際によく用いられます。
大豆などにヘキサンを加えると、含まれている油分がヘキサンの方へ溶け出します。
そうして溶けて混ざり合ったものを加熱すれば、沸点が低いヘキサンだけが蒸発し油だけが残るというわけです。
そして蒸発したヘキサンは回収され再利用されています。
オイルメーカーによってはこのヘキサンを「食品添加物」と表現していますが、食品添加物の中でも、食品に残留してはいけないと定められている「加工助剤」となります。
製品中に残存してはいけないものですので成分に含まれていることにはならず、使用したという表示義務はありません。
当然ながら、残った大豆カスの方にも残存していてはいけませんので、こちらも加熱して「脱」溶剤(ヘキサン)処理されているということですね。
犬にとって大豆ミールってどうなの?
大豆ミールはドッグフードの原材料としては好ましくないといわれています。
それは栄養面でも理由があります。
大豆ミールは植物性のタンパク質
大豆ミールの栄養価を見てみると実に45%がタンパク質で構成されていますので、栄養価が高いものとは言えそうです。
ただ、タンパク質というのは「タンパク質」というただ一つの決まった物体があるわけではありません。
「動物性タンパク質」や「植物性たんぱく質」という言葉を聞いたことはありませんか?
構成するアミノ酸等の組み合わせによりタンパク質には多くの種類があり、それぞれ異なった特徴を持っているのです。
そして一般的には動物性タンパク質には、植物性タンパク質よりも必須アミノ酸の種類が多く含まれているとされています。
犬が大好きなお肉由来のタンパク質と、大豆ミールに含まれている大豆タンパク質は違うものだということは忘れてはいけないようですね。
大豆ミールには炭水化物が多い
大豆ミールに含まれる栄養分はタンパク質の次に多いのは炭水化物の40%です。
炭水化物はもともと肉類には含まれない栄養素です。
そのためか、ドッグフードへの表示義務もありません。炭水化物は穀物や豆類などに多く含まれる成分ですので、犬にとってあまり重要視されていない栄養素と言えるのかもしれません。
大豆アレルギーを持つ犬が多い
大豆は小麦同様、食物の中でもアレルギーを起こしやすい食品だと言われています。
アレルギーを持っていない犬にとっては何の問題もない食べ物でも、アレルギーを持っている犬にとってアレルゲンの摂取は毒の摂取と同じことです。
少しでも疑いがあるのであれば避けた方が賢明です。
まとめ
私たち人間の食べ物の中にも、大豆(ソイ)ミートや大豆タンパクなどと呼ばれるものがありますが、原料が搾油後の大豆という点においては、大豆ミールと同じです。
某有名カップ麺で「謎肉」として使用されたことで話題にもなりましたので、ご存知の方もいらっしゃったかもしれません。
世の中には新しいものがどんどん出てきますが、正しい知識を身につけて愛犬も私たちも健康な食生活を送りたいですね。