寒さや何らかの恐怖を感じたとき、摺りガラスや黒板を爪でひっかいたとき。
書いているだけででてきそうになるもの、と言えば「鳥肌」です。この「鳥肌」には「さぶいぼ」という別名があることは有名ですが、何かちがいはあるのでしょうか。
「鳥肌」とは
寒さや恐怖、または驚きや情緒的ストレス、強い喜びや衝撃的な事実や出来事にであったときなど、それに反応して立毛筋が収縮し、皮膚の毛孔部(毛穴の部分)が盛り上がる現象を「鳥肌」といいます。
逆立った毛の間に空気の層を作ることで体温の低下を防ぐ効果があるようです。
これは、交感神経の興奮や緊張によって生じる現象で、自分の意志とは無関係に起こるものとされ、興奮した際により多くの情報を得ようとして瞳孔が開いたり、活動が活発になると全身に血液を送り対応しようと心拍数が上がったりするのと同じ種類の現象なのです。
また、猫が威嚇のために全身の毛を逆立てるのも「鳥肌」によるものだと言われているそうです。
「さぶいぼ」とは
「さぶいぼ」とは、「鳥肌」のことで主に関西地方で使われている呼称です。
「寒さが原因で出てくるいぼ」という意味合いから「さぶいぼ」と呼ばれているようです。
「鳥肌」と「さぶいぼ」のちがい
「鳥肌」の別名が「さぶいぼ」であることは比較的有名な話であり、この二つの言葉に、大きな意味のちがいがないことは広く知られた事実です。
しかしながら、「鳥肌」は、鳥の毛をむしった後の鳥の皮膚に似た現象を比喩的に表現したものであり、「さぶいぼ」は寒さによって発生した皮膚の現象を、その原因と結果を直接的に表現したものである、というちがいがあることがわかります。
また、「鳥肌」は、近年では、「あの〇〇〇は、まさに鳥肌ものである」などのように直接的に感動や興奮を表す言葉として使用されているのに対し、「さぶいぼ」は、ギャグや洒落などが面白くなかったときに、「さぶいぼ、出たわ」というように揶揄的な言葉として使用されている、というちがいが見て取れます。
関西地方では、面白くないことを「さぶい」と表現しますが、「面白くないとき=さぶいとき」に出るものという意味で「さぶいぼ」と用いられています。
最近では、関西で活躍するお笑い芸人の東京での露出も増え、「さぶい」「さむい」はかなり一般化してきた言葉といえます。
(まとめ)
「鳥肌」と「さぶいぼ」のちがいについてお話ししましたが、参考になりましたでしょうか。同じ身体的現象を表す言葉であっても、別の意味を比較してみると、こうもちがうものかと、改めて、言葉の奥深さを感じます。