寒い季節が近づくと、いつの間にかコンビニエンスストアのレジ横に強烈な存在感とともに登場する「肉まん」「豚まん」のコーナー。
あたたかい湯気に誘われて、ついつい食べてしまうこの「肉まん」と「豚まん」には、何かちがいがあるのでしょうか。
「肉まん」とは
小麦粉、水、イースト、ベーキングパウダー、強力粉などで作った白い生地に、お醤油やごま油などで味をつけた豚ひき肉や玉ねぎなどの具を入れて、中火で20分ほど蒸したものを「肉まん」といいます。
中国の軽食として有名な点心(包子:読みは「パオズ」)が元になって生まれた食べ物で、大正から昭和にかけて、日本各地で食べられるようになったと言われています。
元になった包子は、油脂分が多く日本人にはあまり好まれなかったようですが、あっさり目の味付けに改良され、一般の人々に広く親しまれるようになったそうです。
「豚まん」とは
「豚まん」とは、作り方から中の具や味付け、使われているお肉に至るまで、「肉まん」ほぼ全く同じもののことを指しています。
呼び方はちがうものの、実は、「肉まん」と「豚まん」は同じもののことだったのです。
なぜ「肉まん」「豚まん」というのか
では、なぜ「肉まん」「豚まん」という二つの呼び方があるのでしょうか。
その理由を見てみましょう。
関東をはじめとする多くの地域では「肉」というと牛肉・鶏肉・豚肉など複数のお肉のことを意味しますが、近畿地方(京都府、大阪府、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県)では、「肉」というと「牛肉」のことを意味します。
近畿地方には、松坂牛や近江牛、神戸牛、但馬牛、大和牛など評価の高い食用牛の産地が集まっており、そのため「肉」というと「牛肉」を想起してしまう、というのです。
この考え方で「肉まん」といってしまうと、近畿地方では「牛肉を使った中華まん」という意味になってしまうため、わかりやすくするために「豚まん」という言葉が使われるようになったのです。
肉まんと豚まんの違い まとめ
現在では冷凍食品やコンビニエンスストアの発展の結果、「肉まん」という言葉が近畿地方にも広まり、一切通じないということはないようですが、特産物である和牛との区別のために「豚まん」という言葉が生まれたとは、その地域ならではの豊かな発想なのかもしれませんね。
製造会社が「肉まん」と「豚まん」の両方を販売している場合には、「豚まん」のほうが、使用するお肉の質を良くしたり、量を多くしたりするなどして、やや高級感のあるものとして販売している傾向があるようです。