お子さんの身長について気になることはありませんか?
女の子は小学校高学年から、男の子は中学生になるころから身長がぐんぐん伸び始めます。
いわゆる第二次性徴期といわれる時期です。第二次性徴期の始まりにはかなりの個人差があります。
ですから「早い?遅い?」ということはさほど心配する必要はないと思います。
むしろあまり神経質になるとお子さんにとってもストレスになってしまいます。「知らないうちに背が伸びてた」なんて親御さんもいらっしゃいますから、そんなに気にすることはないでしょう。
けれどもそのころのお子さんの生活面について親御さんが気をつけてあげられることはいくつかあります。お子さんの生活習慣を見直し、気になることがあればぜひ改善していきましょう。
成長期の身長をさらに伸ばすための生活リズムはこれ!
そもそもなぜ身長は伸びるのでしょうか?
身長の伸びは子どもの骨に秘密があります。子どもの骨には「骨端線」という軟骨の部分があります。この軟骨の部分の成長が身長の伸びにつながるのです。
骨端線の成長を促すのに重要な働きをするのが成長ホルモンです。
この成長ホルモンの分泌にとって大切なものは、大きくいうと「睡眠」「栄養」「運動」の3つです。これらのバランスをしっかりとることが、子どもの成長にとって大変よいということが言えるでしょう。
睡眠
まず「睡眠」についてです。これについて特に大切なのは、良質の睡眠がとれているかどうかという点です。
「夜10時から深夜2時は睡眠のゴールデンタイム」という言葉を昔よく聞いたものですが、これは必ずしも正しいとは言えないようです。
もちろん、この時間帯にはできるだけ睡眠に入っていたいものです。特に中学生になると部活動や習い事などでどうしても就寝時間が遅くなるものですが、あまりにひどい夜更かしの癖を放置してしまうとあとから治すのはとても大変です。まずは規則正しく就寝することを身につけておくことが大切ですね。
ただし「この時間帯は誰でも成長ホルモンの分泌が活発である」ということではなく、成長ホルモンの分泌は「睡眠の深さ」と関係があるのだそうです。つまりどれだけぐっすり眠れているか。「○時から○時にただ横になっていればいい」というものではないのです。
では、どうしたらより「ぐっすり」眠ることができるのでしょうか?
就寝前の数時間をどう過ごすかということを考えてみましょう。
最近はほとんどのお子さんがスマートフォンやゲーム機を持っています。
スマートフォンのブルーライトが睡眠によくないということは昨今多くの場で言われています。親御さんの中にも、就寝前にスマートフォンやPCをするとよく眠れなくなるということを実感している方はいらっしゃるのではないでしょうか。
就寝の2~3時間前はブルーライトや明るい光の点滅をさけたほうがよいでしょう。これはお子さんだけに任せておくとなかなか実行できないものですよね。ぜひ親御さんが一緒に気をつけてあげてほしいと思います。
また就寝の直前まで飲食をするのも避けたほうがよいでしょう。食事をして胃腸の動きが活発になると副交感神経が働くため眠くはなるのですが、睡眠の質は低下してしまうそうです。質のよい睡眠のために、食事は就寝の3時間前程度には済ませておきましょう。
栄養
「栄養」についても考えてみましょう。
骨の成長のために大切な栄養素はなんでしょうか?
まず骨の土台となるのはたんぱく質です。そこにカルシウムやリンといったものが加わり丈夫な骨をつくります。ビタミンDはカルシウムの吸収を促します。マグネシウムは健康な骨の維持に大切です。そのほかにも色々な栄養素が絡み合って骨は成長していくということです。
つまり「これを食べれば必ず背が伸びる!」ということではないのです。大人の場合も同じですが、栄養はバランスが大切です。和食・洋食問わず、色々な料理から栄養を摂りたいものです。インスタント食品や偏った食材による料理が続いてしまうのは避けたいですね。色々な食材を使った料理を取り入れてみましょう。
また、朝ごはんを抜いてしまう、間食が多いといった場合も栄養のバランスが心配です。できるだけ決まった時間にきちんと食事をとるように心掛けましょう。
それでもどうしても偏食しがちのお子さんもいるでしょう。そうした場合には子ども用の栄養サプリメントなどを適度に利用することを考えてもよいかもしれません。
運動
「運動」はどうでしょうか。
なぜ運動が身長の伸びにつながるのか、それは「骨端線に適度な刺激を与えることは軟骨の増殖、つまり身長の伸びにつながる」という原理だそうです。
確かになんの刺激も加えないよりはよさそうですよね。
成長期のお子さんが「まったく運動をしない」ということはあまりないと思いますが、「運動不足かもしれない」というお子さんは最近意外と多いのかもしれません。
成長期はちょうど受験などの時期とも重なるため、勉強や塾通いに時間が取られてしまうお子さんもいらっしゃるでしょう。また外遊びよりもゲームなどが好きなお子さん、読書などを好むお子さんも多いのではないかと思います。
スポーツ好きなお子さんの場合はあまり「運動」の点は心配ないと思いますが、もしも親御さんから見て「ちょっと運動不足かしら」という感じがする場合は気をつけてあげたいものです。適度な運動は、上で述べたような良質の睡眠や食欲増進にもつながります。ぜひ運動する時間を確保してあげてください。
中学・高校に身長を伸ばすスポーツベスト3
身長を伸ばすという点からはどんなスポーツが向いていると言えるのでしょう?
バスケットボールやバレーボールは皆さんすぐに思いつくと思います。ご自身の経験からも「バスケットボール部やバレーボール部の子は背が高い子が多かったな」という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
それって、やったから背が伸びるの? それとも背が高いからやるの?という疑問もあるとは思いますが…「骨に縦方向の力を与える」という運動は、確かに骨端軟骨の増殖を促す効果があるそうです。
バスケットボールやバレーボールでは「ジャンプする」という動きが多く見られます。この動きは物理的に骨を縦に引っ張ることになり、骨端軟骨付近の血液の流れも活発になるということです。ですからバスケットボールやバレーボールは、確かに「背が伸びる」という効果がある程度期待できるようです。
「骨に縦方向の力を与える」という意味から、水泳もよいそうです。水泳は水の中で浮力が働くためひざへの負担も軽減されます。全身運動である点から血行の増進にも繋がります。スイミングスクールに通っているというお子さんも多いと思いますが、成長期には非常によい運動と言えるでしょう。
あたたかい気持ちで見守ろう
身長の伸びということに関して、「睡眠」「栄養」「運動」という3つの点から考えてみましたが、もちろんほかにも様々な要因があると思います。
成長期は、単に身体的に変化するというだけでなく、外の世界がぐんと広がり精神的にも大きく成長する時期です。
ふとしたことで生活習慣が乱れたりストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。そのような時の精神面の理解やフォローも、親御さんにとっては大切な役割の一つなのかもしれません。あたたかい気持ちで成長を見守っていきましょう。