キャンプでバーベキューなどをしたあとには、火の始末をする必要があります。
そこで役に立つのが、火消し壺。わずかな手間で確実に始末をすることができて、とても便利です。
しかし、そんなにしょっちゅう使うものではないので、まだ持っていない人は、できれば身近にあるもので済ませたいと思うのではないでしょうか。
この記事では、そんなときに火消し壺の代用品として使えるものを4つ、ご紹介していきます。
火消し壺について知っておこう
その前にまず、火消し壺がどんなもので、どう役に立つのかをおさらいしておきましょう。
酸素を遮断して消化する
何の道具も使わずに炭火の後始末をするのは、なかなか時間のかかる作業です。
まず、ただ水をかけるだけでは簡単に消えてくれません。
火は炭の中でしっかりと燃えているのに対し、水はその表面にしかかからないので、初心者が想像するような簡単な消火はできないのです。
なので、水を使って消火したければ、水の中に沈めるといった処理が必要になるのですが、そうすると水蒸気や炭が飛び散って危険ですし、周囲が汚れてしまう可能性もあります。
その点、火消し壺は「フタをして酸素を遮断することで火を消す」という方法を採るので、安全かつ確実に火の始末をすることができるのです。
消し炭を再利用できる
火消し壺を使って消化した炭火は、再利用することができます。
そのまま火消し壺に入れて保管しておき、次のバーベキューの機会に取り出して、すぐに使うことができるのです。
つまり、火消し壺は消火の道具であると同時に保管の道具でもあるわけですね。
水に沈める方法で火を消した場合、消し炭を乾燥させるという手間が生まれます。
また、それを保管しておく方法も考えなければいけません。
それだったら、最初から火消し壺を使っておいたほうが手っ取り早いですよね。
マナーを守るのに最適
キャンプをする人の中には、使用した炭を地面に埋めたまま帰ってしまう人もいます。
炭の捨て場所が用意されているキャンプ場ならばよいですが、そうでない場合は自分達で持ち帰る必要があり、それを面倒臭がった人が現地に捨てていったのでしょう。
しかし炭は自然に還らないので、そのまま残り続けます。
そのような炭で、子供がやけどをしてしまう事件がニュースになったこともあります。
こういったことのないようにするには、使った炭を簡単に処理し、持ち帰ることのできる準備を、はじめからしておくことが大切です。
そのためには、火消し壺を用意しておくのが最適なのです。
火消し壺の代用品を選ぶポイント
上に挙げた火消し壺の性質や利点を考えれば、代用品としてどんなものを使えばよいのかもわかってきます。
密閉性
まず、きちんとした密閉性があることが必要になります。
簡単に言えば、しっかり閉じることのできるフタを用意すること、ですね。
フタは本体とはべつに用意しても構わないのですが、できれば本体にフタが付属しているものを用意したほうがよいですね。
そういうフタのほうが、よりピッタリと閉じることができ、サイズもちょうどよいので多少動かしても外れにくいからです。
耐熱性
そしてもちろん、耐熱性があることも重要です。
種類にもよりますが、炭火は放置した状態でも摂氏600度から800度程度ありますので、それを入れても問題のない素材で作られている必要があるわけです。
その意味で、アルミ製のものは避けるべきでしょう。
アルミニウムの融点は660度なので、炭火を入れると、火が消えるより先に溶け出してしまう可能性があるからです。
従って、以下で紹介する代用品のすべてについて、アルミ製のものは除いて考えるようにしてください。
火消し壺の代用品:お菓子の缶
クッキーなどのお菓子が入っていた缶は、火消し壺の代用品として使うことができます。
このとき、最初のうちはフタを少しだけ開けておき、完全には密閉しないようにしてください。
熱によって空気が膨張し、缶が爆発してしまうことがあるからです。
また、本物の火消し壺と違って、缶全体が非常に熱くなってしまうので、すぐに収納するわけにはいきません。
なので、炭火が消え、じゅうぶんに温度が下がったのを確認してから片付けるようにしましょう。
火消し壺の代用品:ペンキや溶剤などの缶
ペンキや溶剤などは、ステンレスやブリキでできた缶に入っていますよね。
こういった缶も、火消し壺の代用品として使うことができます。
使い方は上記のお菓子の缶と同じです。炭火を入れ、最初のうちは隙間を少しだけ空けるかたちでフタをし、炭火が消えてきたら密閉させる。
缶が熱くなっているのも同じなので、扱いにはじゅうぶん注意してください。
特に缶の底は、炭火が直接触れるところなので、非常に高温になります。地面にあるものを焼いてしまう可能性がありますので、缶の置き場所にも気を配る必要があります。
火消し壺の代用品:土鍋
料理に使う土鍋も、火消し壺の代用品として使うことができます。
もちろん、食卓で今も使っているものはやめておいたほうがいいので、使わなくなった古い土鍋が残っているのであれば、という話です。
土鍋にはしっかりした耐熱性があるので、比較的安全に使うことができます。
ちなみに土鍋だけでなく、耐熱性のある陶器のたぐいはどれも代用品として使うことができます。
その場合、「ある程度の大きさがあるか」「しっかりしたフタがあるかどうか」の2点を判断基準にすればよいでしょう。
火消し壺の代用品:ステンレス製の鍋
ステンレス製の鍋も、火消し壺の代用品として使うことができます。
使い古しがご自宅にない場合は、100均ショップで買ってくるのもよいでしょう。
値段が安いからといって、代用品として使えないということはないので、とても簡単に準備することができてしまいます。
持ち運びの手軽さを考えると、木製の持ち手がついている片手鍋などは特に適しているのではないかと思われます。
できればフタにも木製の取っ手があると、いっそう便利ですね。
使い方は上記の代用品と同じです。炭火が熱いうちは、フタを少しだけ開けておくようにしてください。
また、底が非常に熱くなってしまうことにも注意しましょう。
火消し壺の代用品を使う注意点
ここで、代用品を扱うときの注意点をまとめておきます。
炭火が熱いうちは完全に密閉させない
それぞれの項目でも説明しましたが、炭火を入れたばかりのうちは、フタを少し開けておき、完全には密閉させないようにしてください。
高熱によって空気が膨張し、爆発してしまうことがあります。
本物の火消し壺はそういうことがないよう頑丈に作られていますが、代用品はそうではないので、使う人間が注意する必要があるのです。
缶の場合、フタに空気穴をいくつか開けておくのも一つの方法です。
軍手などを使う
代用品に炭火を入れると、内側だけでなく、外側もかなりの高温になります。
それを素手で触るとやけどをする危険がありますので、必ず軍手などを使って作業するようにしてください。
炭火を少しずつ代用品に入れる
一度にたくさんの炭火を入れてしまうと、そのぶん空気の膨張も激しくなり、急激に圧力が上がってしまうため、爆発する危険性が高くなります。
これを避けるために、炭火を少しずつ入れていく、という工夫をしてみてください。
また、熱い状態の炭火がたくさん集まっていると熱が冷めにくくなるので、代用品をいくつか用意して、小分けに入れていくことで、早めに処理することができます。
従って、大きな代用品を一つ持っていくよりは、小さめの代用品を複数持っていくほうが、時間の短縮に繋がることになりますね。
複数用意するのは難しいかもしれませんが、もし可能であれば試してみるようにしてください。
まとめ
以上、火消し壺の代用品について、ご紹介しました。
火消し壺の値段もまちまちですが、それなりのものを手に入れようとすると、3,000円から5,000円くらいはします。
もちろん、それを用意できるならそうしたほうがよいのですが、キャンプなどをするには他にも準備すべきものがあるので、火消し壺にまで手が回らない、ということもあるでしょう。
そういった場合には、この記事で紹介した代用品を使うことを考えてみてください。
ただし、注意すべき点にはきちんと注意をするよう心がけるようにしましょう。
安全にレジャーを楽しむには、絶対に必要なことです。