成長期のお子さんをお持ちの方の中には、お子さんの身長があまり伸びないことを心配されている方もいらっしゃると思います。
最近では成長期のお子さんに向けたサプリメントもたくさん販売されており、こうしたものを実際に取り入れているご家庭も増えているといわれています。
子どもの身長が伸びない原因とは?
身長が伸びるための3つの大きな要因として「栄養」「睡眠」「運動」が挙げられることは皆さんご存じだと思います。
栄養バランスのよい食事、充分で質のよい睡眠、適度な運動、まずはこの3つが整っているかが大切です。
栄養についていうと、たとえば「カルシウム」は骨を強くすることにつながります。
しかしカルシウムだけでは新しい骨はつくられません。ビタミンDやビタミンC、亜鉛などといった他の栄養素と一緒に働くことによって新しい骨の形成に関与することになります。単体ですぐに「身長を伸ばす」という栄養素はありません。栄養に関して何よりも大切なのはバランスです。
また、いくらおうちの方が栄養面に配慮していたとしても、夜更かしや不規則な生活リズムなどがお子さんに過剰に見られた場合には身長の伸びに悪影響があるでしょう。
現代の日本では子どもたちの睡眠時間の減少や夜型生活の増加が指摘されています。質のよい睡眠は成長ホルモンの分泌や疲労回復のために必要不可欠ですが、こうしたことが阻害されていることも考えられます。
運動についても、もろちん運動不足は解消する必要がありますが、身体に過度な負荷がかかるような運動もまた身長の伸びにはあまりよくないといわれています。
成長期はちょうど部活動なども厳しくなる時期ですのでお子さんの疲労度合があまりにも大きいという時には考えていく必要があるかもしれません。
身長が伸びるということは骨が伸びるということです。子どもの骨には骨端線という柔らかい部分があります。上の3つの要因が揃うことによって「成長ホルモン」などの分泌が盛んに促されます。
「成長ホルモン」そのものは身長を伸ばすことには直接つながりませんが、他のさまざまなホルモンや栄養素と連携していくことによって柔らかい骨端線の部分に新しい骨が形成されていきます。
さらに成長期には「性ホルモン」というホルモンも分泌されますが、このホルモンが成長に対してラストスパートをかけます。そのため成長期にぐんと身長が伸びるという現象が起こります。
個人差のある身長の伸び
身長の伸びにはかなりの個人差があります。遺伝の要素は25%程度といわれていますが、その他の条件に関しても「こうすればこれくらい伸びる」などということはもちろんできません。「なぜうちの子はあまり身長が伸びないのだろうか」とお悩みの方も多いと思いますが、これはとても難しい問題です。
身長が伸びる時期には大きな個人差があります。
小学校後半から中学校前半くらいで大きく伸びる子もいれば、高校になってから伸びるという子もたくさんいます。
おうちの方の成長期がいつごろであったかという点も一つの目安になりますが、大きく身長が伸びる時期が遅く到来した子ほど最終身長は高くなるといった報告もあります。
中学生くらいですと同級生とかなりの身長差になってしまって悩むお子さんもあるかと思いますが、普段の生活バランスを心がけ、身長に関して過度なストレスをためないこともまた大切なことといえるでしょう。
子どもにサプリメントを使っても平気なの?
インターネット上には「成長サプリメント」「背を伸ばすサプリメント」といった様々な商品の広告が流れています。
カルシウム・マグネシウム・たんぱく質・アルギニン・亜鉛・コラーゲンといったさまざまな栄養素の文字も並びます。
成長期のお子さんをお持ちの方がもっとも気になるのは「毎日の我が家の食事の中で適切な栄養が充分に摂れているだろうか…」ということだと思います。
特にこうした広告に載っている栄養素について、すべてを日々の食事で摂っていくことは難しいといえるかもしれません。サプリメントを「日々の食生活で足りない栄養素を補うもの」ととらえて、適量をお子さんに摂取させていくことについて大きな問題はないと思います。
お子様用のサプリメントでは多くの場合、原材料の安全性やアレルギー、副作用といったことに関して特に高い配慮がされていると思いますが、まずはご自身で公式HPなどから情報を集めましょう。
華やかな宣伝部分に目が行きがちですが、特に成分表や原材料表示などを確認することをおすすめします。
原材料表示には「含有量の多いものから順番に記載する」というルールがあります。お子様用のサプリメントの場合には飲みやすさを優先するため甘味料などが表示のトップにきていることも少なくないと思いますが、その他の成分に関してもたとえば原材料が天然由来であるか、アレルギーなどの問題はないかなど、おうちの方がしっかり確認することが大切です。
一日当たりの栄養成分表も見てみましょう。
一日当たりのエネルギーだけではなく、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、カルシウム、ビタミン類といったものの量を確認してみると、たとえば「炭水化物(糖質)が多くて、期待している栄養素は意外と少ない」といったこともあるかもしれません。
こういった点について購入する前にしっかり確認し、納得した上で商品を購入することが大切です。
サプリメントは「食品」です。薬ではありませんので即効性がないことは当然です。
納得して購入した場合にはある程度の期間継続して摂取していくことが望ましいといえます。
また薬は特定の症状に対して一定の効果が期待できるものですが、食品である以上は必ず効果が期待できるとはいえません。この点についても理解しておく必要があります。一般的な食材を考えた場合にも「必ず身長が伸びる」といえるものはありません。
サプリメントも同様に、「必ず身長が伸びる」というものはないと思われます。ただし普段の食生活の中で足りない栄養素を補うという面では意味があります。お子さんに必要だと思われる栄養補給を考えていくことは大切なことでしょう。
なお、サプリメントを摂取する時には複数の商品を重複して使用することはやめましょう。
どのサプリメントにも「成長に関してこの成分に注目!」という部分があると思います。
そうしたものをあれこれ試してみようという気持ちが起こることもありますが、お子様用のサプリメント、特に成長期のお子様に合わせた商品では、たいていの場合様々な栄養素が多種類配合されています。
注目成分以外のものについて重複が起こると過剰摂取につながります。余分なものは体外に排出されてしまうという栄養素もありますが、過剰摂取によって身体が深刻な過剰症を引き起こすこともあります。
この点から、商品によって決められている一日当たりの適切な摂取量を正しく守ることも大切です。口当たりのよいものが多いためついついおやつ感覚で多めに摂取してしまいがちですが、一日の摂取量をきちんと確認してから使用するようにしましょう。
日々の食事と睡眠・運動
成長期のお子さんにとってバランスのとれた栄養補給はとても大事なことです。
普段の食生活に偏食や少食といった問題が心配されるお子さんの場合には、サプリメントを食事のサポート役として上手に取り入れていくことを検討してみるとよいでしょう。
ただし「サプリメントを摂取しているから大丈夫」と考えることはやめましょう。
サプリメントを摂取していても普段の食生活が偏っていたり間食が多かったりすればあまり意味はありません。あくまでも、まずは普段の食事の中でバランスよく栄養を摂取することを考えていきましょう。
また、身長に関しては栄養面以外の要因も非常に重要です。日々の栄養バランスを整えるとともに、睡眠・運動、またストレスといったことにも充分注意していきましょう。