何でもできる万能鍋、ダッチオーブン。
その機能の高さや、きちんと扱えば長く使い続けられることから、キャンプ用品としてとても重宝されているアイテムです。
ダッチオーブンが一つあるだけで、本当にたくさんの料理を作ることができます。
しかし、初めてキャンプをするという人や、ごくたまにしかキャンプをしないという人にとっては、ダッチオーブンまで揃えるのは大変かもしれません。
安いものでも4,000~5,000円、しっかりしたものだと30,000円近いものもあり、値段分を取り戻すほど使い込むのは難しいかもしれないからです。
キャンプをするには、他にもたくさん用意しなければならないものがあるので、出費を抑えられるところは抑えたい、と考えるのは自然なことですよね。
この記事では、そんなときにダッチオーブンの代用品として使うことができるものを4つ、ご紹介していきます。
ダッチオーブンについて
代用品を挙げていく前に、まずはダッチオーブンについて解説していきましょう。
ダッチオーブンの歴史
ダッチオーブンとは、アメリカの西部開拓時代に使われていた調理器具です。名前の意味は「オランダのオーブン」。
当時、オランダ人によって持ち込まれた器具の中にこの鍋があり、一つで何でも作ることのできる便利さから、急速に広まっていったそうです。
その歴史が示す通り、ダッチオーブンは煮る・焼く・炒める・蒸す・揚げるなど、幅広い料理をこなすことができ、現在では特にキャンプ用品として人気となっています。
ダッチオーブンだけ用意しておけば、どの季節にどこに出かけても好きな料理を楽しめるのですから、人気になるのもわかりますね。
ダッチオーブンの特徴
ダッチオーブンの厳密な定義は、次のようなものです。
「分厚い金属製のフタつき鍋のうち、フタに炭火を乗せることができるもの」
鍋には厚みがあり、これによって内部の温度の変化が少なくなり、全体が同じ温度に保たれ、食材にしっかり火が通ります。
そのとき、食材から出た水蒸気がフタの隙間を埋めてくれるため、フタの重さと組み合わさって密閉状態を作り出してくれます。
この状態で加熱を続けると、内部の圧力が高まって、食材の芯まで熱を届けることができるようになるのです。
材質は鋳鉄製のものがもっとも多いですが、ステンレスやアルミニウム合金、カーボンなどの製品もあり、多種多様です。
それぞれに「熱の広がりが良い」「錆びにくい」「比較的安い」などの長所があり、どれを重視するかによって、使うべき製品も変わってきます。
ダッチオーブンの代用品を選ぶときの注意点
この記事でご紹介する代用品の中には、ダッチオーブンのようにいろいろな調理法に対応しているものもあれば、そうでないものもあります。
あくまでも代用品なので、ダッチオーブンの万能なところを、すべて真似できるわけではありません。
なので、「作りたい料理に合わせて代用品を選ぶ」か、あるいは「代用品に合わせて作る料理を選ぶ」か、どちらかが必要になる場合があります。
その点に注意して、以下の解説をお読みください。
ダッチオーブンの代用品:ストウブの鍋
ストウブ、という言葉を初めて見た、という人もいるかもしれません。ストーブと間違えてしまいそうになりますが、もちろんべつの言葉です。
ストウブというのは、フランスで創業した調理器具メーカーの名前。
鋳物ホーロー鍋とセラミック製品で世界的に知られており、プロの料理人にも愛用されている、本格的なブランドとして歴史を積み重ねています。
このストウブ社製の鍋は、ダッチオーブンの代用品として使うことができます。
それどころか、場合によってはダッチオーブンを超える活躍をしてくれることもあります。
まず、デザインがおしゃれで、カラーバリエーションもたくさんある、という点が挙げられます。
キャンプ用のダッチオーブンは、どちらかというと無骨な見た目をしています。
もちろん、それが良いというキャンプ好きも多いわけですが、どうせならキャンプでもおしゃれにこだわりたい、という人もいるでしょう。
そういう人の願いを、ストウブの鍋は叶えてくれます。
そして、手軽に扱えること。
ダッチオーブンは重くて、手入れが大変なことも多いのですが、ストウブの鍋はそれほど重くなく、簡単に洗うことができます。
そのため、あまり面倒なことはしたくないという人にはちょうどよいのです。
それでいながら、熱伝導性や保温性といった点でダッチオーブンに匹敵する性能を持っています。
代用品というよりは、もう一つの手段という言い方をしたほうがよいかもしれませんね。
ただし、値段はかなり高めなので、ダッチオーブンに手が出ないからストウブの鍋を買う、というのは考えにくいかもしれません。
あえて買うとしたら、キャンプでも家でも重宝する鍋を一つくらい持っておきたい、と考えたような場合でしょうか。
ダッチオーブンの代用品:南部鉄器
南部鉄器は、岩手県に古くから伝わる伝統工芸品ですね。
急須をイメージする人が多いのではないかと思われますが、それ以外にも魚焼きグリルやフライパンなど、多くの調理器具が作られています。
その中には鍋もあり、この鍋はダッチオーブンの代用品として使うことができます。
南部鉄器の特徴は、熱伝導性や保温性など、ダッチオーブンにかなり近いものがあり、ほとんど同じように扱っても問題ありません。
見た目からもわかるように、全体的に厚みがあり、平らなフタには密閉性があります。
一つの鍋で、いろいろな調理法にも対応できます。
そういう意味では、ダッチオーブンと同じようなものが昔から日本にはあったのだ、言ってもそれほど間違ってはいないでしょう。
南部鉄器というと、伝統工芸品のイメージから、良くも悪くも「渋い」デザインばかり想像してしまうかもしれません。
しかし、最近はそういうものだけではなく、より現代的なものもあり、選ぶ楽しさもあります。
ダッチオーブンの代用品:圧力鍋
圧力鍋とは、しっかりとしたフタで容器を密閉し、空気や液体が逃げないように作られた鍋のことで、内部に圧力を加えることで水などの沸点を高め、高温調理することができるのが特徴です。
この圧力鍋は、ダッチオーブンの代用品として使うことができます。
上に挙げたダッチオーブンの特徴をお読みいただければおわかりかと思いますが、ダッチオーブンを使うと、圧力鍋と同じような効果が生まれます。
その点に関して言うなら、圧力鍋はまさに専門家。
例えばキャンプで煮物を作りたい場合、前日に仕込みをして圧力鍋の中に入れておき、密封したままキャンプ場に持っていけば、現地では火を通すだけで済んでしまいます。
ただし、圧力鍋が得意とするのは、水分を使った料理。
それ以外の、焼くとか炒めるといった用途には、あまり向いていません。
なので、圧力鍋を代用品として使いたいという場合には、煮る料理を選んでおくのがよいでしょう。
ダッチオーブンの代用品:文化鍋
炊飯器が普及する以前、米を炊くために広く使われていた文化鍋。
実はそれだけでなく、煮物を作るのにも使うことができるのはご存知でしょうか。
この文化鍋は、ダッチオーブンの代用品として使うことができます。
現在の文化鍋は、アルミニウム合金を鋳造して作られるものが多いですね。
フタが鍋の縁より少し低い位置に収まるように設計されているのが特徴です。
全体的に厚みがあるため、熱を全体にムラなく伝えることができ、重いフタによる密閉性が内部の圧力を上げ、高温調理が可能となる。
このあたりの特徴はダッチオーブンとそっくりであり、従って炊飯や煮物においては、まったく問題なく代用品として活躍してくれます。
ただし、焼く・炒めるといった用途には向いていませんので、その点には注意してください。
まとめ
以上、ダッチオーブンの代用品として使えるものを4つ、ご紹介しました。
繰り返しになりますが、ダッチオーブンがキャンプ用品として人気になったのは、それ一つあれば何でもできるからです。
その意味では、今回ご紹介した代用品のうち、後半のものは用途が限られており、完全な代用品とは言えないところがあります。
また、前半に紹介したものはダッチオーブンと同じかそれ以上に値段の高いものなので、気軽に買うわけにいかないことも多いでしょう。
そういったことを考えると、ダッチオーブンはやはりキャンプ用品として優秀であり、できればこれを持っておいたほうがいいのは確かです。
しかし、いろいろな状況が考えられるので、この記事で紹介した知識も、覚えておけば何かの役に立つこともあるのではないかと思われます。
いざというときには、この記事を思い出して、じゅうぶんに活用するようにしてください。