「お年玉」は、もともと歳神様からの賜り物として新年に預かる「魂」を意味しています。
歳神様とはその年の福徳を司る神様のことです。
この神様のいる方向を「恵方」といいます。
歳神様に供えられた餅 (鏡餅) を下げて年少者に分け与えたのがお年玉の始まりとされています。
お年玉をあげるのは何歳から何歳まで?
まずはお年玉についての基本的なマナーを振り返っておきましょう。
お年玉には「その年の始まりをお祝いする」という意味が込められていますので、新しいお札を用いるのが理想的だといわれています。
またお札の折り方には、肖像があるほうを内側にして左から三つ折りとする、袋から出した時に正しく上を向くようにしておく、といった一定のマナーがあります。
3000円など複数のお札を折る場合には重ねてから折るようにしましょう。袋に入れて渡すことが基本ですが、急な来訪などで袋がない場合にもお札をむき出しで渡すことはやめましょう。ティッシュなどに包んで渡すようにします。
金額については昔からの行事や祝い事に関する数字と同様に奇数がよいとされています。特に、4は死、9は苦につながるといわれていますので避けましょう。
また、お年玉は親がいるところでやり取りするというのが一般的なマナーとなります。
子どもたちだけの時に渡したり一同がバタバタしている時に渡したりすると、相手がきちんとお礼を言うことがおろそかになる恐れがあります。一
定の礼儀を身につけていくためにも渡す場やタイミングを考えましょう。
なお、お年玉は起源的に考えると目上の人が目下の人に渡すものということになります。
上司の子どもや先輩の子どもなどに「お年玉」をあげるのはマナー違反になるといわれています。その場合には「お年賀」ということになるそうです。
「お年玉をあげるのは何歳から何歳まで」ということについてのきまりはもちろんありません。
だからこそ悩んでしまうともいえるのですが、インターネット上や私の周りなどを調べたところによれば、お年玉をあげる年代としては「小学校入学前から高校生」が一般的といえるように思います。
では、具体的な金額は皆さんいくらくらいなのでしょうか。
年齢別のお年玉の相場とは?
小学校入学前まで
小学校にあがる前までのお子さんにはまだお金の価値や使い道についての考えがあまりありません。
特に生まれた直後のお子さんの場合には、お年玉とはいっても実質的にはご両親に対して渡されるものになると思います。
お年玉をあげ始める年齢については、あげ終わる年齢と同様に、お互いの家庭の関係性や親戚間のルールといったものが大きく関係するでしょう。「お年玉は幼稚園・保育園にあがってから」という場合も多いのではないかと思います。
お子さんが小さいうちはお金のやり取りを嫌うご家庭もあるようです。そこでクリスマスプレゼントと同じような考え方で、おもちゃや本などお子さんがすぐに喜ばれるものをあげるという方もあるということです。
しかしお年玉をもらう世代の子どもが自分の家庭にいる場合には、やはりこちらからもお金をあげるという方は多いでしょう。
相場としては500円~1000円といった金額が一般的だそうです。
小さいうちは硬貨を喜ぶお子さんも多いことから500円玉を用いるという方法もあるようです。ただし、おもちゃにしてなくしてしまったり口に入れてしまったりといったことも起こり得ますので、渡す場合には必ずご家族の承諾を得てからにしましょう。
小学生
小学校は6年間あります。そのためこの期間一律の金額というご家庭は少ないのではないでしょうか。
一般的には「学年×1000」「年齢÷2×1000」といった計算式もよく知られています。計算式を決めておくと前の年にいくら渡したか忘れてしまうといったことも防げるでしょう。
小学校低・中学年では1000円~3000円、高学年では3000円~5000円という金額が一般的なようです。
小学生のお子さんはそろそろお金の価値がわかり、実際に購入したい商品も増えてきます。
だからこそ「あまり高額のお金をあげて金銭感覚を狂わせたくない」と考える方もいらっしゃるでしょう。
小学生ばかりの兄弟の場合、年長者に敬意を示すために兄弟間で一応の格差をつけるという考え方もあるようです。たとえば2年生と6年生の兄弟で両者が3000円では何となく不釣り合いな印象もあり、兄弟間で揉め事の種となってしまうかもしれません。
しかし一方では「小学生になったら一律3000円」などと決めているご家庭もあるでしょう。
こういったことはご家族やご親戚同士での話し合いや暗黙の了解に基づくことが多いと思います。
なお、1年生には「入学祝い」、6年生には「卒業祝い」を渡すという方も多いでしょう。
一年に一度しか会うことがないという時には、お正月の場でお祝いを渡すことがあるかもしれません。ただしこの時にはお年玉と同じ袋に入れて渡すよりも、お祝いは別の封にして渡すのが無難だといわれています。相手のご家庭との関係性にもよると思いますがちょっと気にとめておくとよいでしょう。
中学生
中学生では5000円というご家庭が多いといわれています。
小学生までにあげていた金額にもよりますが5000円という金額にはやはり一定の価値があるため、中学3年間はこの金額で…というご家庭は多いようです。
中学生になるとお金に対しての関心はかなり強くなります。一方でアルバイトなどはしたことがないためその価値をしっかり理解しているかという点には多少の疑問が残ります。安易に高額に慣れさせてしまうことは問題だという考え方もあります。書籍代のために図書カードをプラスするといった方法なども考えられます。
中学生の場合にも「入学祝い」や「卒業祝い」があります。小学校卒業祝いや高校入学祝いとの関係もありますが、その時期のお子さんには配慮をしてもよいでしょう。
高校生
高校生の場合も5000円という方は一定数いらっしゃるということです。
しかし高校生になったら1万円というご家庭も多いようです。半端な金額をあげることは少ないため、5000円または1万円ということになるのではないでしょうか。少なくとも5000円以上ということはいえるようです。
高校生になるまでにあげていた金額にもよると思いますが、一般的には「中学生の時よりは少しアップする」という考え方のご家庭が多いでしょう。
高校生ともなればお金の価値は充分知っています。むしろ感謝の気持ちが出てくるため、小学生などと比べれば金額によって一喜一憂することはあまりないのではないでしょうか。こちらも中学生と同様、図書カードなどをプラスするといった方法も考えられます。
大学生
基本的には「お年玉は高校生まで」というご家庭が多いと思います。
しかし、もしも自分の子どもにお年玉をくれたご家庭に大学生がいた場合にはどうでしょうか。
とても近い関係ならば「大学生だからもうお年玉はなし!」でもよいかもしれませんね。実際そういうことも多いと思います。ただし以下のような場合には「大学生でもお年玉をあげる」ということがあるようです。
- 相手の家庭が現在高校生までの自分の子どもにお年玉をくれる
- 自分の子どもが大学生だった時に相手の家庭がお年玉をくれていた
- 未成年までは渡すというルールが親戚の間である
- 20歳のタイミングで成人のお祝いをかねている
- 何年か会うことがなく、長らくお年玉を渡す機会がなかった
大学生はもう金額を云々言うような年齢でもないと思いますが、相場としては1万円といわれているようです。親戚や近しい関係として大切に思っているという気持ちが伝わればよいのではないかと思います。
また、社会人であっても18歳~20歳ならば上記のような理由に基づいて渡すというご家庭もあるかもしれません。大学生や社会人の場合にはもう「相場」というよりは、お互いの関係性や親戚間のルールによるものが大きいといえるでしょう。
お年玉の金額はご家庭のお子さんの人数によっても左右される面があるでしょう。お年玉は子どもに向けて渡されるものですが、実際には「家と家とのやり取り」ですから、単に「相場」ということだけではなくそうしたことを配慮して金額を決めている方も多いと思います。
たとえば3人の子どもを持つ私の知人の話です。
知人の兄のお子さんは一人っ子ということです。
自分の子どもたちと兄のお子さんはほぼ同世代です。そのご家庭とお年玉をやり取りする場合、向こうからは○円×3人分の金額を渡されます。
そこでこちらからは、一人のお子さんに対して○円×3の金額を渡すということでした。
単純に一人分として考えた時には上記の相場などと比べると多い金額となってしまいます。
しかし家庭同士としての均衡を考えると、実はそうした渡し方もよくあることなのではないでしょうか。家族構成がよくわかっている親戚などの場合にはこうした配慮も必要となってくるのかもしれません。
さいごに
何かと物入りの年末年始、お年玉の出費も馬鹿にならないと頭を悩ませている方も多いと思いますが、子どもたちとしてはとても楽しみにしているものですから心をこめて準備してあげたいものです。
お祝い事の金額やルールは、一般的な「相場」とはまた別に、親戚間の了解や地域性なども大きく影響します。
伝統的なものはむしろそういったことに従ったほうがよいこともあります。
最近では、お年玉に関して親戚同士ではあらかじめ積極的に話し合っておくといった声も聞かれます。
毎年モヤモヤした気持ちになってしまうよりは、歳の近いお子さんのいる親族や近しい関係の方とどうするか話し合ってみるというのはとてもよい方法かもしれませんね。