「私の経験を、いかしたい」と書くときに、「いかす」が、「生かす」「活かす」のどちらなのか、迷ったことはありませんか?
「生かす」と「活かす」はどちらも「いかす」と読むため、違いがわかりにくい言葉です。
今回は、「生かす」と「活かす」の違いについてお伝えします。
「生かす」とは
「生かす」の漢字「生」は、
・生きる
・生まれる
・いかす
などの意味があります。
漢字「生」の意味にそって、「生かす」には、
①「生命」
生き返らせる (例)捨てられたものを生かして、新たなものを作る
長く生命を保たせておく (例)川で捕った魚を、水槽で生かしておく
②「能力」
十分に働かせる (例)音楽の才能を、仕事に生かす
という意味があります。
「生かす」は、公的な文章や新聞、雑誌などで使うことができます。これは、「生かす」が常用漢字であるためです。
常用漢字とは、日本政府が定めたもので、日常生活でこれだけあれば用が足りるという目安の漢字のことです。
「生かす」は常用漢字であり、「いかす」の読み方も認められているため、公的な文章などで使うことができるのです。
「活かす」とは
「活かす」の漢字「活」の語源は、「水が勢いよく流れるさま」を表し、
- いきる、いかす
- いきいきしている
- くらすこと
などの意味があります。
漢字「活」にそって、「活かす」には
①持っている能力を活用する、いかす
(例)彼は、生まれ持った能力を活かした仕事に就いた
②いきいきさせる
(例)生徒の持ち味を活かした、学級を作りたい
といった意味があります。
「活かす」は、「能力や物事の特徴をいかしてうまく使う」という意味が強い言葉なのです。
「活かす」は、公的な文章や新聞、雑誌などで使うことはできません。
「活」は常用漢字ですが、「活かす(いかす)」は常用漢字の読み方として認められていないためです。
「活かす」は、履歴書や一般的な文書で使われることが多い言葉といえます。
「生かす」と「活かす」の違い
「生かす」と「活かす」の違いは、次のようにまとめることができます。
常用漢字で認められた読み方であるかどうか
「生かす」…認められた読み方であり、公的な文章や新聞、雑誌などで使われる。
「活かす」…認められた読み方でないため、公的な文章や新聞、雑誌などで使うことができない。使う場面は、履歴書や一般的な文書が多い。
意味
「生かす」「活かす」は、同じ「才能や経験などをいかす」という意味で使われることが多い。
命に関することを伝えるときは、「生かす」を使うことが一般的。
「生かす」と「活かす」の違いまとめ
「生かす」と「活かす」の違いをお伝えしました。
「生かす」と「活かす」は、どちらも基本的には同じ意味の言葉のため、「才能や経験などをいかす」という場合などは、どちらを使っても間違いではありません。
ただ、「活かす」は、常用漢字の読み方としては認められていないため、公的な文章などでは「生かす」とします。
履歴書などの場合は、「経験をいかす」ことから「活かす」とした方が意味が伝わりやすいでしょう。
「生かす」と「活かす」は使う場面を確認して、使い分けることが大切です。
どちらを使うか迷った場合は、「生かす」または「いかす」と平仮名で使うことがよいでしょう。