自宅でのおやつだけでなく、外出先や旅行先でのおやつ・間食として人気。小麦粉と卵を主体とした生地が焼きあがるときの甘い香りに誘われて、ついつい衝動買いしてしまうこともしばしば。
近年では、あんこに加え、カスタードクリームなども登場し、老若男女が楽しめる定番のお菓子となったもの、と言えば「今川焼き」や「回転焼き」ですが、どのようなちがいがあるかご存知ですか?さっそく見ていきましょう。
「今川焼き」とは
「今川焼き」と聞いて、駿河(静岡県中東部)の戦国武将・今川義元を思い浮かべた方はご名答です。
江戸時代中期の江戸市中(現在のJR神田駅付近)に「今川橋」という橋がありました。
その橋の袂にあった店が、「今川義元の最期で有名な桶狭間の戦い(1560年)」と「今川橋」をもじって「今川焼き」と称して販売していたところ好評で、その名が一般化して広まった、とされています。
明治時代には庶民のおやつとして人気を博し、大手菓子メーカーの創業者に「焼き芋屋と今川焼きがある限り銀座での西洋菓子の進出は困難」と言わしめたほどの人気ぶりでした。
「回転焼き」とは
「回転焼き」とは、円形の窪みのある金属の型に、小麦粉と卵で作った生地をしき、あんこを入れて焼いた食べ物です。焼くときにこの金属の型を回転させて焼いたことから「回転焼き」と呼ばれるようになったようです。
「今川焼き」と「回転焼き」のちがい
材料や製法、味などでちがいを見てみると「今川焼き」と「回転焼き」は、ほぼ同じ食べ物であることがわかります。
全国的には「大判焼き」と呼ばれることが一般的なこの食べ物、ちがいはというと、その呼び名です。江戸市中で広まった「今川焼き」は関東地方での呼び名、作り方から生まれた「回転焼き」は関西や九州での呼び名でした。
ほかには「あじまん」や「御座候(ござそうろう)」「七越焼き」「暫(しばらく)」「おやき」「二重焼き」など、近畿地方だけでも数十種以上の呼び方があるようです。なぜ名称にこのように地域差が出たのかは正確にはわかっていないのだそうです。
「今川焼き」と「回転焼き」のちがい まとめ
「今川焼き」と「回転焼き」のちがいはおわかりいただけたでしょうか。
販売戦略として命名された「今川焼き」、その作り方に注目して命名された「回転焼き」、それぞれの地域にそれぞれの背景があり、同じ食べ物が全くちがう呼び名となったとはなんとも興味深い話です。
旅行や出張の際には、「今川焼き」と「回転焼き」が、どの地域でどのように呼ばれているのかを調べながら食べてみるのも、楽しいかもしれませんね。