新型コロナウイルスの感染拡大、世界的なパンデミックによって、「手指の消毒、除菌」という新しい文化と常識が確立しつつある、といってもよいでしょう。
それまで、消毒や除菌といえば、ケガ、傷口の化膿防止や一部の医療品や衛生品でしか出番のなかったものでした。しかし、今や、お店への入店や退店、出社や帰宅時には、欠かせない行為となりました。
その際に用いられる「アルコール」や「エタノール」。このふたつには、どのようなちがいがあるのでしょうか。
今回は、「アルコール」と「エタノール」のちがいをご紹介しましょう。
「アルコール」とは
「アルコール」とは、果実や穀物が発行する際にできる物質のことで、体内に吸収されることで、所謂「酔い」という状態を作り出す物質です。
その濃度によっては殺菌効果があることから、医療用にも使用されています。「アルコール消毒」などがその例です。
「エタノール」とは
「エタノール」とは、「アルコール」の一種です。
飲料用の「お酒」には必ず入っている成分で、「酒精(しゅせい)」とも呼ばれています。濃度によっては殺菌効果があることから、飲料としてだけでなく、医療用にも使用されています。
「アルコール」と「エタノール」のちがい
先の説明でも記載しましたが、「エタノール」は「アルコール」の一種です。
「アルコール」とは、世の中に存在するアルコール類の総称として広い意味で用いられる言葉で、「お酒」「消毒・除菌」「燃料」などの意味を持っています。
主にお酒と消毒・除菌に用いられるのが「エタノール」、燃料に用いられるのが「メタノール」という分類になっています。理科の実験で登場した「アルコールランプ」は、燃料としての「アルコール」の代表格です。
消毒や除菌に用いる場合、アルコール濃度は70%~95%がほとんどで、場合によっては、濃度60%台のもので代用することもあります。医療の現場では「アルコール消毒」と呼ぶことがほとんどですが、実際には「エタノール消毒」である、というのが厳密な認識となりますね。
また、「エタノール」の用途は広く、化粧水をはじめとする化粧品に使用することでも有名です(この場合の医療用やその他の「エタノール」は、人工的な化合物です)。
「エタノール」は、国際化学名法の呼び名では「エチルアルコール」と呼ばれていますが、慣用表現として「エタノール」、日本古来の呼び方で、お酒の場合に「酒精」となります。
また、一般的に「アルコール」というと、お酒のことである場合が多く、人工的に生成した「エタノール」、果実や穀物が発行してできた「アルコール」類を総称して、「アルコール」と呼んでいることがほとんどです。
(まとめ)
このように「エタノール」は、「アルコール」の一部であり、「エタノール」「メタノール」を含めたアルコール類を総称して「アルコール」と呼んでいます。
しかしながら、医療的には「アルコール」というと「エタノール」のことを指します。その言葉が登場するシーンによって、何を指しているかが異なるのですね。
燃料としても、医療的にも、娯楽や精神的にも、感染症対策としても、「アルコール」や「エタノール」は、人間の生活とは、切っても切れない非常に重要なものであることがわかりました。
「アルコール」とは、うまく付き合いたいものです。