教師から生徒へ、先輩から後輩へ、福祉職員から障害のある方へ、成人から未成年へ、電車の車内や選挙カーの中で。
日々の報道で、これらの関係性や場所などでの「性的虐待行為」のニュースを目や耳にするたびに、子供を持つ親として、娘を持つ親として、ひとりの人間として、心を痛める、強い憤りを感じる、怒りすら覚える、という方もいらっしゃると思います。
そういったニュースの中で目にする「わいせつ行為」や「みだらな行為」という言葉、そもそも、どのようなちがいがあるのでしょうか。
目をそむけたくなるような行為かもしれませんが、今回は、この「わいせつ行為」と「みだらな行為」のちがいについて、ご紹介したいと思います。
「わいせつ行為」とは
「わいせつ行為」とは、刑法上の規定では、体への接触、脱衣など性的欲求を刺激する行為のことを指します。
普通の人間の性的恥辱心を害し、性的道義概念に反する行為と言い換えることも可能です。強制的なキスや体を触ること、裸にして写真を撮るなどの行為が該当します。
「みだらな行為」とは
「みだらな行為」とは、主には各地方自治体の定めた青少年保護条例(俗にいう淫行条例)の中にある言葉で、結婚を前提としていない状態での性交渉のことを指しています。
「わいせつ行為」と「みだらな行為」のちがい
「わいせつ行為」と「みだらな行為」のちがいを見ていきましょう。
「わいせつ行為」は、犯罪に関わる刑法に規定されたものです。刑法は、犯罪とされに関する刑罰を規定した法律であるため、「わいせつ行為」と表現されるものは、犯罪に関連する行為となり、その対象となる行為や刑罰は日本国内において共通のものとなっています。
一方で、「みだらな行為」とは、青少年保護条例(淫行条例)の中での表現であり、『青少年を誘惑し、脅迫し、困惑させるなどその心身の未成熟さに乗じた不当な手段により行う性交』と位置づけられており、条例内容は自治体ごとに異なります。よって、対象となる行為や刑罰は、各自治体によって異なります。
条例が各自治体ごとで異なる背景は、その地域の年齢構成や商業形態、地理・地形、人間の流動性などのちがいによるものです。
「わいせつ行為」と「みだらな行為」のちがい まとめ
今回は「わいせつ行為」と「みだらな行為」のちがいについてご紹介しました。
国家が対象行為とその刑罰を規定したものが「わいせつ行為」、各地方自治体が未成年保護のために、対象行為や刑罰を規定したものを「みだらな行為」という分類であることがわかります。
しかしながら、どのような分類であっても、いずれの行為も、その被害にあった方への精神的、肉体的な影響を考えても、決して、許されるものではありません。
「わいせつ行為」「みだらな行為」の抑止力として、対象行為や処罰の内容を理解、周知していく行動や活動の重要性を改めて強く感じました。
同時に、いずれの行為も行うことのない正しい道徳観の育成も非常に大きな意味を持っています。被害にあわれた方への国や自治体の保護やサポートの体制の拡充と合わせて、これからの社会で非常に強く求められるべきものだと考えます。