居酒屋に行ったときに、最初の注文の前後に出てくる一品料理。
飲みなれなかった若かりし頃は一瞬戸惑ったりもしたこの一品料理には「お通し」と「つきだし」という二つの呼び名があることをご存知でしたか?
今回は、そのちがいを見ていきましょう。
「 お通し」とは
「お通し」とは、主に関東地方を中心とした地域の居酒屋で最初に出てくる一品料理のことを指しています。
漬物や枝豆、酢の物、季節を感じさせる小料理など、お店によって料理内容に差はありますが、お酒がすすむような軽めのものが多いようです。
「つきだし」とは
「つきだし」とは、主に関西地方を中心とした地域の居酒屋で最初に出てくる一品料理のことを指しています。
料理の内容は関東の「お通し」と変わりはないようです。
「お通し」と「つきだし」のちがい
「お通し」と「つきだし」は内容としては変わらないようです。
「お通し」は関東のものであり、「つきだし」は関西のものであることはわかりましたが、ほかにはどんなちがいがあるのでしょうか。
「お通し」の語源は、「客の注文の通し」といわれています。
お客さんの注文を聞いた後に出されることから「客の注文を間違えなく厨房へ通した」という意味でそのように呼ばれているようです。
一方で、「つきだし」は、客の注文の通しとは関係なく、席についたらすぐに「つきだすように出される」ため「つきだし」と呼ばれているようです。
しかしながら、「つきだし」には別の説もあるのです。
江戸時代の遊郭では、遊女が初めて客の相手をする夜のことを「突き出し」と呼んでおり、それに合わせて「客に最初に出す」ものという意味で「つきだし」と呼ぶようになったという見方もあるようです。
「お通し」や「つきだし」は何のために出されるのか
「お通し」や「つきだし」は、席料としての意味合いが強く、客が少量の酒や料理しか注文しなかった際のリスクヘッジであるとも位置づけられているようで、そういったことを感じさせないために味に趣向を凝らしているところもあるようです。
居酒屋によっては、余った食材をうまく活用してコスト効率を高めるところや新メニューのテスト的な意味合いとして活用しているところもあるようです。いずれにしても、「お通し」や「つきだし」には、居酒屋ごとの意図があるのです。
「お通し」と「つきだし」の違い まとめ
「お通し」は、お客の注文を間違えなく通した意味で注文の後に提供し、「つきだし」は、席についたらすぐに提供される最初に出される料理として、タイミングと役割のちがいがあることがおわかりいただけたと思います。
「お通し」や「つきだし」は、店によっては断ることもできるようですが、訪れた居酒屋がどのような意図で最初の一品料理を出しているのかを考えながら飲みに行くのも、ひとつのお酒の楽しみ方になるかもしれませんね。