将棋は昔から日本人にとって大変なじみの深いものです。
幅広い世代の人と交流できる奥の深いゲームである一方、人々の心に強く残る数々のプロ棋士も誕生してきました。
最近では史上5人目の中学生プロ棋士として注目される藤井聡太四段や女流棋士の活躍などでさらに将棋人気が高まったといえるでしょう。
将棋を真剣に指している子どもたちの様子がテレビで放送されることも多くなりました。小学生くらいのお子さんがものも言わず将棋盤に向かって素晴らしい集中力を発揮する姿をみて、「ぜひうちの子供にもやらせてみたい」とお考えになった方も多いのではないかと思います。
将棋をするとこんなメリットがある
将棋を指すことによって頭はどのような動きをするのでしょうか。
まず視覚的な情報が入ることによって右脳が鍛えられます。
そして戦略や先の手を組みたてる中で左脳が鍛えられます。
さらに定跡だけでは対応できない部分を創造的な働きを司る前頭葉によって補います。将棋は脳のさまざまな部分を同時に使いながら進めていくため、頭の体操としてとても有効です。
自分で考える力や応用力を養う
「絶対」という答えのないものに取り組むことによって自然と自分で先を考えていく力が養われます。
将棋には定跡といわれる勝つためのマニュアルのような手があります。これを覚えていくことは大切ですがそのうち定跡通りでは勝てないという場面に遭遇します。
こういったことから応用力も鍛えられます。
決断力がつく
絶対的な答えがないことは複数の方法から自分で道を選択していく力につながります。
決まった時間の中で次の手を指していくことの積み重ねによって決断する能力が養われます。
相手の視点で考えることができる
将棋には「感想戦」というものがあります。
相手の考えに触れることで新たな発見や自分とは違う考え方を会得することができ、相手の気持ちを推し量ることにつながります。
集中力が身につく
すぐには決着のつかないゲームに粘り強く向き合うことによって集中力が強化されます
こういった頭の動きは普段の生活の中でも大きく活かされることでしょう。長く続けていくことのできる趣味の一つとしても将棋には大きな魅力があります。
どうやって将棋を始める?
では、お子さんが将棋を始める場合にはどのような方法があるでしょう。
おもちゃ・ネットゲーム
まずは将棋に慣れることが大切です。
おうちの方が将棋に詳しく、将棋盤や駒などにすぐに接する機会がある場合にはそれでももちろんよいと思いますが、最近ではお子様用の将棋のおもちゃ・携帯アプリゲームなども充実しています。
「NEWスタディ将棋」
一つ一つの駒にその動かし方が示されており、初心者でもすぐに楽しめて自然にルールが覚えられるような工夫が施されています。
藤井聡太四段が5歳の頃におばあさまからプレゼントされ将棋を始めるきっかけとなったことでも有名です。
「どうぶつしょうぎ」
3×4のマスを使った「どうぶつしょうぎ」や5×6のマスを使った「ごろごろどうぶつしょうぎ」は可愛い絵柄の動物たちが駒になっており、将棋の入門としてお子さんには大変親しみやすいでしょう。
さらに発展して実際の将棋に近づいた「おおきな森のどうぶつしょうぎ」もあります。
すぐに本物の将棋を用いずに導入としてこのようなゲームを取り入れている子供教室もあるそうです。対戦相手がいない場合には携帯アプリゲームも便利です。
書籍
将棋の入門書も数多く出版されています。
羽生善治のやさしいこども将棋入門
どんどん強くなる「やさしいこども将棋入門」
マンガ版将棋入門
新ひみつシリーズ「将棋のひみつ」
といったものがお子様用として人気が高いようです。
将棋をテーマにした漫画も数多く、書籍に興味を持ってから実際に駒を触ってみるというお子さんもいるでしょう。
将棋教室
日本将棋連盟公認の将棋教室は全国にあります。インターネットでお近くの教室を検索してみましょう。
自分と同じくらいの腕前の相手と対局することができ、昇級などのシステムもしっかりしています。本格的に続けていきたいお子さんには適しているでしょう。
将棋教室は初心者でも指導してもらえるところが一般的なようです。が、教室によって考え方はそれぞれあると思います。いくつかの教室を見学して雰囲気などを確かめていくことも大切でしょう。
なお将棋道場というものもあります。こちらは席料を支払って実力に合った相手と将棋を指す所です。ある程度の腕前となり、実戦経験を積む場所として適しています。
教室や道場の一番の利点は、実際に他人と対局の経験を積むことができる点でしょう。知らない人と対局して「勝った」「負けた」という経験をすることでおおいに触発される子もいるということです。特に負けず嫌いのお子さんの場合にはこうした経験から火がつくことも多いでしょう。
入門のタイミングはいつ?
将棋を始める一つのタイミングとしては「5歳くらい (小学校に入学する前の段階)」ということがいわれているようです。
小学校に入ってしまうとなにかと忙しくてなかなかゆっくり時間がとれないことが多くなります。
駒の動かし方や一通りのルールを覚えるまでにはある程度の時間が必要です。こうした時間をゆっくり取るためには小学校入学前のほうが都合がよいという点があります。
ただし、いくら小学校入学前だからといって2歳、3歳ではやはり将棋は難しいものです。
おうちの方やご兄弟が将棋を常に指している場合にはその時期から興味を示すことも充分にあり得ますが、「対局する」ということについてもその年齢ですとまだあまりピンとこないでしょう。
5歳くらいになるとだんだんと、他人と勝敗を競うという点について関心が出てきます。難しい漢字に対してもかえって興味が湧きます。
この時期の子どもの頭や対応力はとても柔軟です。将棋に限らず、大人が思っているよりもずっとスムーズにその世界に入り込んでしまうということがあるそうです。
しかし無理強いすることはやめたほうがよいでしょう。
どんなものでもそうですが、やはり向き不向きということもあります。またこの時期に無理強いされたことに関しては長らく苦手意識や嫌悪感が残ることがあります。
「基本的なルールは覚えたがそのあとはあまり興味を示さない」といった場合にも、ある程度の年齢になってから再開することもあるでしょう。
頭の体操の一つとしておうちの方がきっかけを与えてあげることは大切ですが、長らく続けていくことに関してはやはり本人の考えによるところが大きいでしょう。
16歳から将棋を始めてプロ棋士となった森けい二九段の例もあります。最近では学校の部活動などで将棋を指す子も増えました。物事を始めるタイミングは人それぞれであり「いつが正解」ということは、実はあまりないのではないかと思います。
おうちの方や近隣の方と遊ぶ
「おうちや近隣で将棋を指せるような環境があればまずはそこから…」ということは充分に考えられます。
かつてはそういったことから幼少期に将棋を始めた方も多かったでしょう。おじいさまや親戚のおじさんが将棋をたしなんでいるならばそういった方に教えてもらうのもよいでしょう。
将棋は頭の体操としてばかりでなく、幅広い世代の方と交流できるものとしても大きな注目が集まっています。コミュニケーションツールの一つとしても大いに活用できるでしょう。
またお子さんにとっても、「強くなる」ことと同時におうちの方や身近な大人たちが強い関心を示してくれることは大きなモチベーションとなります。
始めるきっかけとしては大切な点といえます。もしもおうちの方に将棋経験がなければこの機会にお子さんと一緒に始めてみることもおすすめします。