「務める」と「努める」は、どちらも「つとめる」と読む言葉です。「務める」と「努める」は、同じ読み方をするために、「どう違うの?」と迷われる方も多いでしょう。
今回は、「務める」と「努める」の違いについてお伝えします。
「務める」とは
「務める」は
- 与えられた役目、役割、任務を果たす
- 劇などで役を演じる
という意味です。
- 「忘年会で幹事を務める」
- 「学校で学級委員を務める」
などのように使います。
漢字「務」には、「困難をのりこえようと力を尽くす」という意味があり、「務」を使った熟語には、
義務・業務・職務・責務 などがあります。
「務める」の類義語は、「役割を果たす」「担当する」「引き受ける」「まっとうする」「演じる」などがあります。
また、動詞「務める」の目的語は、「任務をしめすもの」が多いことが特徴です。例をあげてみると、
- 「彼はPTA会長を務めた」…目的語「PTA会長」
- 「施設では、高齢者の話し相手を務めた」…目的語「高齢者の話し相手」
といったように、「務める」の目的語は、それぞれ何らかの「任務」を示しています。
「努める」とは
「努める」は
- 努力して行う
- 物事を行うために力を尽くす
という意味です。
- 「学生は勉学に努めるべきだ」
- 「インフルエンザ予防に努める」
- 「問題の解決に努める」
などと使います。
漢字「努」には、「粘り強く、力いっぱい頑張ること」という意味があり「努」を使った熟語には、「努力」「努力奮励」「努々(ゆめゆめ)」といったものがあります。
「努める」の類義語には、頑張る・精進する・力をふり絞る・尽力する・励む・奮闘するなどがあります。
「務める」と「努める」の違い
「務める」と「努める」の違いは、
「務める」
意味
・与えられた役目、役割、任務を果たす
・劇などで役を演じる
「務める」は、「与えられた役目や任務を果たす」ことを表すため、
次のように「役割を果たす」という言葉に言い換えることができます。
「彼はPTA会長を務めた」→「彼はPTA会長の役割を果たした」
「施設では、高齢者の話し相手を務めた」→「施設では、高齢者の話し相手の役割を果たした」
「努める」
意味
・その物事を、努力して解決・改善しようとすること
・目標達成に向けて力を尽くすこと
「努める」の類義語には「励む」があり、次のように言い換えることができます。
- 「学生は勉学に努めるべきだ」→「学生は勉学に励むべきだ」
- 「インフルエンザ予防に努める」→「インフルエンザ予防に励む」
- 「問題の解決に努める」→「問題の解決に励む」
「務める」と「努める」の違いまとめ
「務める」と「努める」の違いについてお伝えしました。
「務める」と「努める」は、どちらも「つとめる」と読みますが、意味や使い方が違う言葉です。
「務める」は、「与えられた役目や、役割、任務を果たす」という意味で、「役割を果たす」と言い換えることができます。
「努める」は、「物事を努力して解決すること、目標達成に向けて力を尽くすこと」という意味で、「励む」と言い換えることができます。
文章で「務める」「努める」のどちらなのか迷ったときは、「役割を果たす」「励む」のどちらに言い換えができるかを考えるとわかりやすくなります。ぜひ、参考にしてくださいね。